コラム」カテゴリーアーカイブ

伝統と文化

 歴史とともに培われてきた伝統を「ぶっ壊していい」などと公言する人間は信用できない。その人にその世界を語る資格は無い。「共存すればいい」なら別だが。
 それを正論だなんだのという意見が多数にな(っているかのように報じられ)ている。世間の価値観は大丈夫なんだろうかと心配になる。

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正義が執行されない国

 大阪王将の件がとても分かりやすいと思うのだけれど、日本では正義が執行されない。
 強いものが優遇され、弱いものはどこまでも虐げられる。
 国自体が隠蔽体質となり、悪を追求し白日の下に晒すような強い正義感を持った牽引者がいない状態が長く続きすぎてしまった結果、この国が今のような状況になってしまっているのではと以前からずっと思ってはいる。
 だから、適切に正義が執行されないのであれば、自ら正義を執行するのだと思う人が出てきてしまうのはある種自然なことで、その規模が大きければ革命と呼ばれるのであって、人類が何度も繰り返してきていること。
 民主主義や平等という名目で、権力に反抗することは許されないことだと教え込まれ、何が何でも権力を信頼するような人は、権力者に都合のいいように飼い慣らされているだけなのではないか。
 違法残業、労働基準法違反、人を人と思わないブラック企業の問題がいくら叫ばれても全くなくならないのはまさに同様の理由だろう。
 だからといって人を殺めるようなことはあってはならないけども、自分が虐げられていると思うのなら、権力に対しては戦うべきであると私は思っている。無論、適切な方法で。
 権力者の側も、ではどうして問題が起こったのかについて真正面から向き合い、理解し、自浄し、徹底して改めなければならないはずなのに、有耶無耶にしておけば時間が解決してくれ、何事も無かったかのように元に戻るので、完全に国民、労働者は舐められている。
 大阪王将の件だって、このまま何もなかったように終わるのであれば、企業も保健所も、告発者だけでなく、消費者のことも完全に舐めているということになるだろう。

吊るし上げが起こる背景

 五輪をめぐる炎上劇だが、オリ・パラの理念からすれば、今回の内容は容認できるはずもないだろう。音楽家も絵本作家もやむなしだ。
 辞任は当然だろうと思う一方、安全な場所から大勢で一人を吊るし上げることについては、やはり賛成できかねる。
 まさかの続投判断に驚いていたが、結局世論を無視できず、辞任という判断に至ったといった結末だった。

 逆に言うと、今の日本の政治家、お偉いさん、立場のある人々は、事態がここまで悪化しなければ、ぬるぬると言い逃れや形だけの謝罪を繰り返すことで、問題が回避できると思っている。そうして、いずれ問題自体が忘れ去られ、無かったことにできると思っている。
 その構造こそが、炎上や吊るし上げが起こる要因の一つになっているのではないかと感じる。そういった状態にまでならなければ、まともな対応をしようとしない。

 到底世論からの理解を得られないような事象に関し、私刑や吊るし上げになる前に、きちんと民意を吸い上げ、対処できる仕組みや、民意を正しく察知し、汲み取り、間違った方向へ進まないよう舵取りが出来る、人の心を持った権力者が必要なのではないかと、今回に限らずいつも思う。昨今の政治家、権力者の行動や発言は、血が通っているようには到底感じられないのだ。

 上級国民という言葉を耳にするようになって久しいが、これこそまさに、権力者は下々の一般市民の声など聞くつもりがないのだということが、世の中に広くバレてしまった、またはそう感じる市民が増えてきているが故なのではないだろうか。

努力は必ず報われる

「努力は必ず報われる」という言葉が話題になっていますが、どうしてこう極端な説ばかり出るのか不思議です。今のネットって二元論ばかりが話題になりますよね。その方が注目を集められるから仕方ないんですかね。

 これについては、少し補って「(正しい)努力は必ず報われる」とすれば落ち着きがよいと感じます。

 間違った努力は意味が無いですし、報われなかったならそれは正しくなかったのだと、そういう理解をすれば丸く収まるのではないでしょうか。ただ、これだと報われたことだけが努力になってしまうので、それが嫌な人は、

「(正しい)努力は報われる(可能性が高い)」

 くらいに思っていれば、いちいち他人の発言に対してカチンときたり騒いだりせずに済むのではないでしょうか。
 そもそも、いくら頑張ったってダメな時はダメです。努力してるのに、努力してるんだから、と自分で思うのはあまりよろしくないのではと思います。努力かどうかは他人が決めることと思って、自分はやれることをやっていればいいのではないでしょうか。

10年目の区切りというけれど

 一昨年、去年と書いていなかったようです。
 去年は緊急事態宣言中でずっと家に引き篭もっていた時期ですね。NHKを見ながら黙祷をしていました。多分、書く気力が無かったのだと思います。一昨年はなんなんだろう。

 今でも、あの日の数ヶ月後に訪れた陸前高田の光景は今でも眼前に思い出すことが出来ます。

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緊急事態宣言下でのコンサート開催の記録と舞台業界への支援の無さ

 緊急事態宣言が出されるかどうかの瀬戸際でこんな記事を書いたわけですが、

二度目の緊急事態宣言が出ると舞台関連は相当やばいかもしれない | 亮曰く (185usk.com)

 その後、緊急事態宣言が発出され、さらに延長となりました。

 発出時点で、イヴェントについては収容を5,000人、もしくは50%までを上限として公演を開催して問題ないということで、壊滅的な打撃は避けられるのかなと思ったのですが、これが意外とそうでもありませんでした。

 結局、自治体毎の判断により、利用中止や閉館となる施設があり、また緊急事態宣言下であるということで、自主的に中止となる仕事があったりで、私は結局2月は無職となりました。これで1度目の緊急事態宣言時と合わせて7ヶ月半無職です。無職を免れた期間も仕事が1/5程度に減少しており、ここ1年間、まともに稼働出来ているとは到底言えません。

 7ヶ月半もの期間、働けるのに仕事が無いって信じられますか? それも、行政の下した判断によってです。お金の問題もさる事ながら、音楽が出来ないという辛さ。こと指揮自体に関しては、楽器と違って家で練習出来るものではない(と私は思っています)ので、振らなければ腕がなまっていってしまう、勘が鈍っていってしまうという恐怖と戦わねばなりません。

 現在、飲食業には1日6万円もの支援が行われています。ですが、舞台業界には何の支援も行われていません。これは、決まりを守ればイヴェントを開催してよいとしているからという理屈なのだと思います。強制すれば保障が必要だが、そうでなければ必要ないという理論なのでしょう。
 ですが、国が強制していなくても、仕事場の利用停止を実質強制され、仕事を失っているという側面は表沙汰になっていません。
 さらに、緊急事態宣言が発出されることにより、外出を控えるという人が増えるのは当然で、であればコンサートを開催しても客足は見込めない。だったらやめようと考える主催者がいるのも当然です。また、主催者としても緊急事態宣言下でコンサートをやるのは感染拡大防止の観点から控えようという考えになることも当然あります。

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文化芸術活動の継続支援事業その後

 昨年の話になりますが、無事に実績報告も通りまして、申請した額が振り込まれました。
 結論から書きますと、審査はゆるゆるです。笊です。なにせ実施した事業の証拠の提出がいらないんですから。まぁ何万件もある事業の実在性を全部見ていられないよねとは思います。
 入り口は大変で、後はそうでもないというのは、まさしく日本的なのかなと。大学受験なんかまさにそうですね。(理系のことは知らない)
 とはいえ、当然実在しないイヴェントや事業を申請すれば犯罪になりますし、いつ抜き打ち検査があるか分かりませんので、もし不正をした方がいるならば覚悟しておいた方がいいでしょう。
 しかし、相変わらず「申請すれば100万円が貰えます! 知らない人に広めてあげてください!」と自分のYouTubeチャンネルを宣伝するような人がたくさんいて、なんだかなぁと思ってしまいます。100万円貰うためには150万円使わないといけないんですよ。50万円足が出るんです。それに、申請が通ったからといって、その額が必ずしも通るという保証はないんです。実施後、実績報告をしたら、やっぱりお金は出せませんというリスクはあります。なんで絶対交付されるという前提に基づいているんでしょうか。私なんかギャンブルの心境でしたよ。
 それに、今現在、そんな余裕のある業界ではないでしょうし、そんなにお金を使っている音大生もいないでしょう。が、芸術関連で経費を使っていて、この制度を知らない人であれば有用ですね。事業として申請すれば使ったお金のいくらかが戻ってくるので。かなり助かると思います。
 でもね、ここぞとばかりに、音大生のためのとか何とか言って自分のビジネスを展開する人はあまり好きになれないなと思いました。世間的には素晴らしい人扱いなんでしょうけどね。私はやはり世間一般とは物の考え方が乖離しているようです。

二度目の緊急事態宣言が出ると舞台関連は相当やばいかもしれない

 緊急事態宣言が出るかもしれない瀬戸際ですが、強制力が無いので飲食店に対して意味がないのではという意見があります。飲食店はそうかもしれませんが、練習や本番で公共施設を使用している我々舞台の人間は、有無を言わさず無職になるでしょう。行政が施設の使用停止を申し渡すため会場を使わせてくれないからです。
 民営とは名ばかりで、大抵の会場は母体が行政のため、お上の決定に逆らえないし、おかしいと考えて意見を言って議論できる職員などいないのです。じゃあ君たちはお上が人を殺せと言ったら従うのかと言いたいです。
 飲食店をどうにかするという理由だけで緊急事態宣言を出されますと、舞台業界が相当深刻な状況に陥るのは想像に難くありません。

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