最高のファンムービー。それ以外に言いようがない。
物語はあってないようなもの。典型的な「苦悩から歓喜へ」の、ベートーヴェンの交響曲第5番形式だ。このキャラを出したいからこういう筋書きにすると逆算されたようにも感じる。
が、そんなものは些細なこと。最初から最後まで、隅から隅までサービス心に満ち溢れた、ゲームを原作にした映画の傑作と言って差し支えないだろう。
ゲームを知らない人にとっては評価が下がるとは思うが、それでも一本のエンターテイメント映画として成立している。
そもそも、筋書きなんてあってないようなものというのは任天堂のゲーム全般に共通して言えること。こういうゲームを作りたいという欲求が先にあって、筋書きは後からつけていると私は昔からずっと感じている。言ってしまえば、筋がなくても楽しめる、単に触っていて楽しいのが任天堂のゲームである。それを映画として表現するとこうなるのか、という想いだ。
細かいネタが満載で、とても一度では見きれない。2Dと3Dで一回ずつ見たが、まだまだ見逃している要素が多いと思う。
予告編を見た時、実はマリオの吹き替えの違和感が心配だったのだが、完全に杞憂だった。全員違和感なし! プロってすごいですね。
いまいちだったと感じたのは選曲。敢えて現実世界の著名な曲を使用する意味はあったのだろうか。全てゲームの曲か、オリジナルで勝負してほしかった。80年代のブルックリンという設定を活かすためかもしれないが、マリオの住んでいる世界が過去のアメリカですよと強く表現する意味があったのかどうか。
布袋寅泰の曲は2000年だが、場面的に「キル・ビル」を想起させたかったものと思われる(「新・仁義なき戦い」ではないと思う……)が、それも必要だったのかどうか。現実とリンクさせるよりも、現実に引き戻されてしまうというマイナスの方が大きいように感じた。ポップスより違和感は少ないが、クラシック音楽から使用された、ビゼーの「ハバネラ」も同じく。
原作の音楽をこれでもかと詰め込んだ映画オリジナルのアレンジ曲はすごかった。スコアが見たい。販売して。
あとは英語版を、いずれ始まるであろうストリーミングで見ようと思う。
素晴らしいCG映画。3D版を映画館で見るべし!