年末ジャンボのCM

 メリークリスマスイヴ。年末ジャンボのCMを目にして、ベートーヴェンの7番の1楽章のアレンジだと気づいてしまってから、観るたびにイラッとしているケツの穴の小さい人間です。
 原曲にリスペクトが無いならアレンジするなよと声を大にして言いたいです。

 かのフランツ・リストはこの曲を形容して「リズムの神化」、リヒャルト・ワーグナーは「舞踏の神化」と称したほどの曲なのです。リズムが最重要と言って過言ではなく、そのリズムを崩してしまっては台無しであり、単なる凡庸な曲に成り下がりかねません。

 CMでは原曲と比較して、リズムが崩れてしまっており、かつ全くもって重要でもなんでもないナンセンスで無意味な歌詞が載せられているおかげで、曲をぶち壊していると言えるでしょう。ジャーンボジャーンボじゃねえよ! ジャンボは尾崎だけでいいんだよ!(いいぞ)

 リズムがどのように変わってしまっているのか、譜例を作ってみました。

もはや別の曲です。

 音楽をやらない方にとっては何が違うのというレヴェルの些細な違いのように感じるかもしれません。恐らく時間にして0.1秒くらいの差ではないかと思います。(計測、計算してないから実際は知らない)
 でも、その差が極めて重要で、このリズムをしっかり出せるかどうか。オーケストラであれば20人30人が揃って同じリズムを演奏できるかどうかで、出てくる音楽が全く変わってしまうのです。
 譜例のCMのような演奏をすると、指揮者に小一時間捕まって何度もやり直しさせられる羽目になりますので、皆さん気をつけましょう。

 音楽が溢れている現代は、例えばボサノバアレンジ、ジャズアレンジ、その他色々何でもありではあります。アレンジの過程でリズムを崩しましたということもあるでしょう。それは全然いいと思うのです。ああ、この人、この曲好きなんだなと思えれば。ですが、このCMに関してはリスペクトが感じられず、有名な曲だから使ってみました的な意識を感じてならないのです。
 いや、分かりますよ。原曲通りに歌詞を乗せると言葉が詰まってしまって、ながら見しているCM視聴者には伝わりづらい恐れがあるとか。ね。分かりますよ。

 ……だったら別の曲にしろよ!