ロリン・マゼール指揮者が逝去する

 突然の訃報に驚きしかありません。

 2014年から体調不良でキャンセルしていたのは知っていたのですが、まさかこんなにあっという間に亡くなるとは。

 ロリン・マゼールと言えば、「ロリコン・マゼール」(別に本人はロリコンではない)だとか、「マゼールな危険」(別に危険ではない)だとか、名前をネタにされる事が多い印象ですが、当然その実力は世界でも指折りでして、私などマゼールの髪の毛一本分の価値もないような下等指揮者であります。

 マゼールは一度だけ生でその姿を見ました。恐らく2004年、NHK音楽祭に出演するため、NYフィルを引き連れた来日公演で、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を、確かサントリーホールで聞いたのです。

 2004年といえば、市原指揮者はまだ誕生しておらず、アマチュアのトロンボーン吹きだった時代ですね。ほとんど記憶にないのですが、非常に無駄のない指揮をする方だなぁという印象だったような気がしますが、定かではありません。というのも、その頃は指揮者よりも、世界でもトップクラスの金管セクションと、トロンボーン吹きとしてその名が世界に轟くジョセフ・アレッシが目当てだったのです。終演後、楽屋の出待ちをして、アレッシ氏と写真を撮ってもらいました。今にして思えば、マゼールの指揮姿、存在感をもっと目に焼き付けておくんだったと。

 もちろん、録音や映像は人類がある限りほぼ永久に残るでしょうけども、生で見なければ意味がないんです。それがもう永久に叶わないのだと思うと寂しくて仕方がありません。

 最近は、いわゆる「巨匠の時代」を知る指揮者が鬼籍に入る事が多くなってきて、年齢的に仕方がないのですが、なんとも言えない虚無感があります。人間ですから、いつかいなくなるのは仕方がありません。それだけに、会いたい人にはどうにかして会っておきたいなと。サヴァリッシュにも会えなかった。アッバードにも会えなかった。

 せめてあっちの世界(があるとすれば)で会ったら「オー、イチハラシキシャ、ヨウコソ!」とか言って指揮者仲間として認めてもらえるくらいには、生きている限り精一杯、指揮者として頑張りたいなと思うのです。

 マゼール氏にご冥福を。お疲れ様でした。ゆっくりおやすみください。

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