現実の事件であり、そこにいる一人の人間が喋っているのに、この記者はどういうつもりで書いたのでしょうか。
小説やフィクションの世界ならいいですよ。インディアンが「インディアン、うそつかない」と言ったり、インド人が「インド人もびっくり」と驚いたり、未開の地の部族と仲良くなって「おれ、おまえ、ともだち」と言っても。それですら昨今の流れ的には危ない気がしますが。
しかしですね、実在の知的障害者の発言を平仮名に開いて記事にするのは、報道する者の倫理としてどうなんでしょう。バカにしてるんですかね。
法廷で叫んだ「おれ、めんきょとってくるまかう」…福祉も限界「今回は無罪にならぬほうがいい」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140414/waf14041407000001-n1.htm
「俺、免許取って車買う」
「車屋さん、ごめんなさい」
じゃ何か不都合でもあったんでしょうか。被告は36歳の男性ですよ? 重度の精神障害で精神年齢が4歳7ヶ月、という事情を鑑みたのかもしれませんが、その記述がある記事では漢字交じりの表記になっているわけで、一貫性がありません。
精神年齢「4歳」、「刑罰」を理解できぬ常習犯
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140408/waf14040817060025-n1.htm
男は「車を見てたら欲しくなる」と供述した。
男は、重度の知的障害というハンディを背負っている。文字はひらがなしか書けず、数字は9、10ぐらいまでしか数えられない。前回の自動車盗は、精神年齢が「4歳7カ月」という鑑定結果に基づき平成25年8月、京都地裁で無罪が言い渡された。
連載記事自体は非常に考えさせられるものであるだけに、どうしてこういう表現を選んだのか、とても残念な感じです。子供の発言だって、わざわざ平仮名にしたりしないでしょう。産経新聞的には問題ないという判断なんですかね。ちょっとおかしいと思いますが。
しかし世の中にはこういう問題もあるのですね。所詮、私の視野も酷く狭いものだと思わされました。かといって、どうにかしたいですよねと感じるすべての出来事に首を突っ込む事など出来るはずもなく、人間一人の力など小さいものだと感じずにはいられません。
こういう話を世間に広めていくのが報道の意義の一つであると思いますので、正しいやり方で、どんどん問題提起をして頂きたいものです。