ミラノ・スカラ座芸術監督、ウィーン国立歌劇場音楽監督、ベルリン・フィル芸術監督を歴任した重鎮、クラウディオ・アッバード氏が2014年1月20日に80歳でお亡くなりになりました。そうか、あれからもう9日も経ったのか。
クラシック界にとっては、相当大きなニュースなんですが、日本国内の主要マスメディアではほとんどニュースにならなかったのが寂しいですね。ニュース速報のテロップくらい流してもいいんですよ? それくらいクラシック界では大物だったということです。
80歳といえば、ここからの10年が、世俗的なものを超越した境地に達することができるであろう、そして指揮者として神の領域に迫れるかもしれない10年間ではないかという気がしています。
勝手な思い込みだけれども、アッバードは2000年に癌で倒れた際、ひょっとしたら一度それまでの自分とは決別し、再生したのかもしれない。闘病前と闘病後では評価が明らかに異なっており、別次元のようだと評されることが多いように思う。
私はアッバードの録音を熱心に聴いたわけではないので、いつ頃の彼がどうこうという風には語ることができない。が、先日、アッバードのファンだというA**氏に訊いてみたところ、やはり復帰後の彼は何らかの境地に達しており、圧倒的に良いという。
であれば、彼は生命に関わる病を患い、克服したことで、人より10年ほど早く指揮者としての何らかの域に到達したのかもしれないな、などと考えてしまった。「何らかの域」。それが何なのかは私には当然分からない。私も80歳になれば分かるかもしれないが、そんなに生きてないだろうね。
結局一度も生で彼の指揮を拝見することなく逝ってしまった。一度でいいから、生で見て聴いてオーラを感じたかったなと思ってなりません。
死後の世界があるかどうか知りませんが、もしあるのであれば、あちらでもまさに天国のような音楽を奏でていただきたいものです。
ご冥福をお祈りいたします。