最初にお断りしておきますが、私はJASRACについては好きでも嫌いでもなく、著作権を管理している団体であり、音楽を生業とするからには付き合いは不可欠であるという認識以上のものはございません。
JASRACと言いますと、その名前が出ただけで悪の権化のように言われ、著作権ヤクザですとか、カスラックなどと罵られることが多々あるわけですが、それは多分に認識不足ですとか、自分で調べたりすることもなく、ネットで多く見られる意見を見て何となく知った気になっていたり、勝手に思い込んでいるだけということが多いかと思われます。
私としては、功罪併せ持つ団体であり、その存在のおかげで色々と音楽利用について簡潔になっているのも確かで、よく知らずに罵詈雑言を浴びせかけることについては賛成するものではありません。
私がJASRACと諸処の手続きで関わるようになってから5年ほど経ちますが、手続きが簡単で助かっている一方、これはおかしいと思うことも多々経験してまいりました。
おかしいと思うたびに、どこがどうおかしいと感じるのか、自分の意見を明確にJASRACの担当者に意見しており、メールの返信でバチバチやりあうところまで発展しては、着地点を見つけております。こちらは使用する側で弱い立場のため、折れざるを得ないことが多いというのも事実ではありますが。
おかしいものはおかしい、言いたいことは言う。ただ、利用させてもらっていることは間違いないし、助かってはいる。そんな感じで利用しております。
さて、私の立ち位置を明確にしたところで、本題に入りたいと思います。
私は2009年より「けつおけ!」というアマチュアオーケストラを組織し、代表として運営、およびオーケストラの指揮を努めております。昨年より立て続けに地上波の番組に3件出演するなど、ビッグウェーブが訪れている、今超大注目のオーケストラです。ご興味がおありの方は下記リンクをご参照ください。(宣伝)
けつおけ!
http://k2orch.info/
けつおけ!はこれまで6回の公演を行っていますが、奇数回をクラシック回、偶数回をファミリーコンサート回と位置づけ、クラシック音楽の楽しさを一人でも多くの方にお伝えしようと活動しております。
特にファミリーコンサート回におきましては、0歳から入場OKとしておりまして、演奏中に泣き叫んでも問題なしということにしております。人間、例え記憶には無くとも、脳にはきっちり刻まれていると考えており、0歳から生の音楽に触れるというのは、その後の人生において意味のあることだと思っています。しかしながら、未就学児入場OKと事前に告知を行っているにも関わらず、子供がうるさかった、入れるべきではないなどとアンケートでゴチャゴチャ戯言を言うお客様がいらっしゃるのですが、そういう方は来なくて結構ですというスタンスです。それくらいの強い意志を表明する団体がないと、小さなお子様をお連れのお客様はいつまでも肩身の狭い思いをしなければならないと思いますので、自ら実践してる格好です。
ファミリーコンサート回には是非ご家族そろってお越しいただきたい、一人でも多くのお子さまにオーケストラ体験をしていただきたいということで、学生500円、小学生以下は無料、座席を必要としないお子様は無料かつチケットも不要としております。
そこまでの使命感があるわけではありませんが、これは音楽文化、クラシック音楽文化の振興という面において一定の意義があることだといいなと思っております。
さて、著作権の生きている音楽を演奏するためには著作権手続きが必要となります。前回のコンサートではスター・ウォーズを演奏いたしましたので、当然手続きを行いました。
本邦においてスター・ウォーズの演奏権はJASRACが管理しておりまして、そのためJASRACに演奏の申請を行うわけです。申請を行いますと、使用料が発生いたします。
JASRACの著作権使用料は、チケット平均価格から算出されます。詳しい計算式は割愛しますが、JASRACのウェブサイトで公開されていますので、ご興味のある方は調べてみてください。席に等級がある場合、例えば一般が2,000円、学生が1,000円だと仮定しますと、チケット平均額は1,500円となります。
今回、けつおけ!では
一般前売 1,500円
学生前売 500円
一般当日 2,000円
学生当日 1,000円
小学生以下 0円
でしたので、平均額は1,000円になると思っておりました。普通そう思いますよね?
ところが、JASRACから届いた請求書には、平均額1,250円と記載されておりました。これは間違ってるぞコラ小学生レヴェルの算数くらいちゃんとやれということで、JASRACへ間違いの指摘と、修正した請求書を再発行するよう連絡したのですが、返答は、申告の通りに算出しており、間違いではないとのこと。
おかしいですね。どういうことかと思い、さらに詳しく聞いてみますと、こういうことでした。
一般前売 1,500円
学生前売 500円
一般当日 2,000円
学生当日 1,000円
小学生以下の料金が反映されていないということです。座席を必要としない子供、すなわちチケットが不要な子供について申請するのはおかしいと思ったので元から除外していたのですが、無料でもチケットを必要とする、つまり座席を占有するお客様である小学生以下まで除外されております。
JASRACの回答は以下のようなものでした。
使用料規定では
「入場料とは、演奏会等の主催者が、いずれの名義であっても、
入場者から音楽の著作物の提示について受ける対価(消費税額を含まないもの)をいう。
この対価に等級別区分がある場合は、その算術平均額を入場料という。」
と定めております。入場無料の場合、無料の入場者の方からは
著作物の提示について対価を受けておりませんので
上記の入場料の定義には合致しないことになります。このため無料については等級別区分や算術平均に含めることはしておりません。
また、チケットをご用意されているか否かについても
入場料の必要条件とはしておりません。
なるほど、定められているならひとまず文句は言えません。では極端な話、1円でも徴収すれば良いのかと訪ねたところ、それなら問題ないとのこと。
分からないではないですが、これはいかがなものかと思います。JASRACは音楽文化の振興が存在意義の一つであり、利用者から少しでも多くの金を搾り取ることが活動の主旨ではないはず。ところが、子供のために無料の座席を用意することで逆に使用料が高くなるという規程は、お金の問題以外では利のないものであると思います。その上、1円でも取れば認めるという杓子定規な考え方は納得がいくものではありません。
チケット不要席を含めるななら分かるのです。しかしながら、チケットが必要ということは、その分だけ有料席が圧迫されるわけで、極端な話、1,000人のホールで有料席が100人、無料席が900人という可能性だってあるわけです。これはおかしい。だったら座席数を制限しろよと思うかもしれませんが、入れる子供の数を制限するくらいなら無料席など作らない方がよいと思います。
私が5年ほどJASRACと様々な形でやりとりを行ってきて思ったのは、恐ろしいほどのお役所体質であるということです。今時、役所ですらこれだけ凝り固まった対応をすればクレームの嵐で話にならんぞというレヴェルの対応を平然としてきます。
これも、競合がほぼ存在しないという故であろうとは思いますが、それだけに、おかしいものはおかしいと利用者の側から積極的に声を上げていかないと永久に改善しないものと思われます。
JASRACには様々な面でお世話になっているからこそ、権利者だけではなく、利用者にも寄り添った団体になっていただきたく、このような事実が存在していると多くの方に知っていただければと思った次第です。
とりあえず、無料の席を用意しようと思っている主催者の皆さん、1円でもいいのでいただくことにした方がよさそうです。1円もらって1円キャッシュバックとかどうでしょうか。そこまで縛る規定はなさそうな気もします。私も次回から無料席は廃止して、1円席を用意しようと思います。
ただ、そんなことをしなくても、無料の席を計算に入れてもらえれば話は早いわけで、今回嘆願をするためのフォームを作成いたしました。賛同いただける方は、是非クリックをお願いします。非常に簡単ですし、私に何かお金が入ることも、個人情報が抜かれることもありません。
JASRAC著作権使用料規定の改善を!
https://goo.gl/UPq03t
これでJASRACが変わるとは思えませんし、意味のないことかもしれませんが、こうして声を上げていかねば、利用者は永久に弱い立場のままだと思うのです。
例えば、賃貸においては借りる側が弱い立場であるということで、昔と比べるとだいぶん保護されるように改善が進んでおりますが、それを音楽利用にも反映させたいという思いがあります。寡占(ほぼ独占)であるからこそ、圧倒的な数を誇る下々の者が声を上げ、変革をもたらそうではないですか! どうですかお客さん! なんだコノヤロー! オレ「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 改善! 改善! さっさと改善、改善! シバくぞ!