黒船室内管弦楽団、第9回定期演奏会が終わりました。
今回は本番2ヶ月前くらいから色々あり本当に運営周りの皆さんの苦労が偲ばれる本番でした。
ギリギリまで、今回はついにダメ出しをしなければいけない回かもしれないと思っていたのですが、蓋を開けてみますと、演奏は全体を通してまとまりのあるというかなんというか一丸となった感があり、音の焦点が定まった感じがして非常によかったと思います。充実しているというんでしょうか。実が詰まっている感じです。
普段、終わった本番の録音は殆ど聴かないのですが、今回は自分が録音したこともあり、普通に聴いています。
音程やリズムの乱れ等、細かいことを言い出せばキリがないですが、全体像が非常に明確に見えたので、傷は多くとも良い演奏に聞こえます。ちょっと聴くの辛いなぁとは全く思いませんでした。色々なものが伝わってくる本番音源でした。
それでもやりきったとまでは言えず、もっと良くなったはずという箇所はたくさんあります。が、それは指揮者の責任ですし、落ち込むことはありません。終わりが定められているから完成させることが出来るんです。また、矛盾するようですが終わりが無いのが音楽であり、常に向上心を持って進んでいけばよいと思います。これ以上のものは無いなんて感じたら、それは音楽をやめる時が来たということでしょう。
いつもいつも指揮をしていて楽しいのですが、今回の本番はなぜだかとても「幸せ」な感じがしました。最初から最後まで幸せに包まれた感覚がずっとあり、とても温かな演奏になったと感じています。恐らく本番中、いつにも増して笑顔だったのではないかと思います。
背景無しで単純に「幸せ」という感覚は今まであまり感じたことがなかったので、新しい発見になりました。
これも、もう10年近く一緒にやってきて、一人ひとりのことが分かっているからなのかもしれませんね。
また、仕事で仕方なくやるのではなく、やりたいから、楽しいからやっているんだという皆さんと音楽を一緒に作れる喜び。アマチュアはこうでなければ。アマチュアイズムは本当に偉大です。いつも言っていますが、私は仮にどれだけ出世したとしても、心はいつまでもアマチュアでありたいです。出世しないから大丈夫とか言わない。
そして、もう一つの理由として、今回の曲によるところが大きかったのかなと思います。どちらのシンフォニーも哀しみとは無縁で、とにかく底抜けに明るく、キラキラとした生命の輝きを強く感じるものでした。
この曲たちに出会えて本当に良かったです。黒船のおかげですね。一般的なアマオケではなかなか選ばれない曲でしょう。
ハイドンやモーツァルトがこれを書いた頃、幸せな気持ちだったのかどうかは知る由もありませんが、私はとても前向きなエネルギーを常に感じていました。それをどうにか表現したかったのです。
柔かく、温かい気持ちになれるこんな贅沢な時間を与えてくれるのですから、音楽はやめられませんね。ハイドンもモーツァルトも偉大すぎます。
アンケートを見る限り、お客様も大変喜んでくださったようで良かったです。演奏中、少しでも同じ世界を見ていただけたのなら嬉しい限りです。
次回も偉大な作曲家の心に迫れるよう頑張りましょう!