プロが「俺はプロなんだからこう接しろよ」と言う事の是非について

 昨日あるトゥイートをしたところ、ちょっと勘違いされているのではないかなと思うフシがありましたので、改めて書いてみようかと思います。

 元々は「プロに無償で仕事を依頼してはいけないワケ」みたいなエントリーがリトゥイートで流れてきまして、それを読んで感じた漠然とした違和感をトゥイートしてみただけなんですが、プロが無償で仕事を受けるのはよいのか悪いのか、という方向に捉えられたようです。私の意図はそこではないのですね。

 発端となる文章は面倒なので紹介しませんが、定期的に発生する議論で、何度も目にした気がする内容なわけです。私も一応プロを名乗って、音楽でお金をいただいている身ですから、言わんとする事は分かります。基本的には賛成で、内容が間違っているとも思いません。かといって全面的に同意するものでもない。そのくらいのスタンスです。

 その文章の著者の事を調べたわけではありませんが、少なからず何かしらの道に携わっているプロが書いたものであろうという事は推察されます。私が違和感を感じたのはそこなのです。

 職能系のプロが、そうでない不特定多数の人に向かって、「プロがタダで仕事すると思うんじゃねえぞ」などと説くのは、なんというか私としては非常に恥ずかしいというか何というか。

 仮に無償でやってくれと言われて嫌だったら、その方にきちんと説明して断ればいいだけでしょう。断れない、断りづらいなどというのはプロ側の問題であって、アマに常識を押し付けてるだけじゃないでしょうか。

 断れないならそれはプロの責任です。プロを名乗っているならば、出来ない仕事は毅然と断るべきでしょう。業界のためによくないというなどという大義名分があるのであればなおさら。だったら断れるはずです。断れずに受ければ、タダでやってくれるんだと思われて当たり前。関係を悪化させたくないから無償でやった。それは自分が人間関係とお金や諸事情を天秤にかけて選択した結果であり、反省するのは無償で依頼したアマではなく、請け負ったプロではないですかね。他の人はやってくれたというなら、「他の人」に問題があるわけですよ。なので、アマチュアに対して「配慮しろ」というのは違う気がしてなりません。アマチュアにああだこうだ言う前に、プロがまず自らの事をきちんと考えるのが先決ではないでしょうかね。

 ほかに、「プロが」と一般論にしてしまっているのがもったいないですね。この方個人の経験ですとか、私はこう思う的な議論であればよいのですが、プロは皆そうだという書き方になっておりまして、それは違うでしょうよと。

 そもそもプロとアマの線引きを明確にしてから議論すべきではないかと思ったりもしますが、話が逸れますし確実に面倒臭い話になるのでやめておきましょう。小澤征爾に「ちょっとタダでうちのオケ振ってよ」と依頼する人や企業は存在するんですかねという話で。存在するのかもしれませんが。じゃあアマだったらどれだけ時間がかかる事を頼んでも無償でいいんですかという話でもありますし。大前提として、誰かに何かをしてもらったらお礼をしなきゃダメですよという話にまで遡りそうであります。

 明確な契約関係や縛りが無い以上、人対人のコミュニケーション上にあるものであって、程度問題の話であるのにも関わらず、それが当たり前なのですよとプロが自ら言ってしまうのは、自分の行動で回避できる問題を他人に責任転嫁にしている印象があってどうにも。ですから、私が感じた違和感というのは、無償でやる事に文句を言うなですとか、きちんと対価を貰うべきだとか、そういう話ではないです。

 これが、プロに対する「気軽に無償で仕事を受けるべきではないですよ」という提言であったり、プロから話を聞いたアマが「プロから聞いた事」として、一つの考え方として書いているのなら、まぁそうですよねと思えたのかもしれませんが、プロからアマに対して「こうせよ」というご高説となると、何とも気分の良い話ではないなと思った次第です。

 ここまで書いていながらなんですが、個人が個人のブログに書いた文章ですから別にいいのです。該当エントリーに書いてある事は間違っているとは思わないので、そのような考えが全くなかった方がいらっしゃいましたら、頭の片隅に入れておくと、いつか何かの役に立つかもしれませんね、と華麗にフォローしておきたいと思います。disってんじゃないですからね。

 もし私がこの手の話を書くのであれば、「プロに対して無償で仕事を依頼するのは自由ですが、断られたからといってムッとしたり、その人を否定するのは全くのお門違いですよ」といった具合でしょうかね。

 もっと言えばですね、元のエントリーは1年近く前のものでして、それをどっかのネット系メディアの人間が見つけて、炎上しそうな臭いを感じたので引っ張り出してきて、PV稼ぎに使っているだけな気がしますけどね。大切な事だから皆に知らせなきゃなどという使命感などないように思いますので、今頃ウハウハな感じかもしれませんね。などと根拠のないメディア批判に繋げたところで終わりにしたいと思います。

 メディア批判はしても、バイキングは心より応援しております。

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