著作権絡みをもう一つ。
著作権には色々な支分権があるわけですが、とりわけ実演をしていて関わることが多いのが、コンサートなどにおける演奏利用です。
著作権の存在する楽曲を演奏する際は、JASRACの定めた使用料規定に則った金額を支払わなければならないわけですが、この金額の算出方法が正しいものなのか、甚だ疑問に思っています。
JASRACの計算式はコンサートの場合、
{(入場料×定員数×80%)×使用料率5%}+消費税相当額
となっています。
実際に計算してみると、1,500人のホールで、入場料3,000円のコンサートを開いた場合、189,000円の支払いになります。もしお客さんが63人未満だった場合、音楽の使用料すら支払えないわけです。
シミュレーションはここにあるので興味があればやってみてください。
使用料計算シミュレーション (演奏会など、録音物、映像ソフト)
使った著作物の対価を支払う。これはいいですよ。当然の事です。私が問題だと感じているのは、「定員数」の部分です。なぜ定員数で金額が決まるのか。
だってそうでしょう。コンサートを開催したとして、その楽曲を聞いた人が10人でも1,000人でも使用料が同じというのは、果たして正しいと言えるでしょうか。音楽を享受する人の有無は無関係。聞いた人がいようがいまいが、それは関係ないと言っている事になります。これでは一体何についてお金を支払っているのか、まるで分かりません。
{(入場料×入場者数×80%)×使用料率5%}+消費税相当額
だったら分かります。というかこれでなければおかしいと思うのですが、どうなんですかね。実際の入場者を確認する方法が無いから一律で収容人数で請求しているのかもしれませんが、それは単に考える事を放棄しているようにも思えます。
実態にそった請求でないのであれば、不当に高く感じる金銭を支払ってまで著作物を利用するのはやめておこうと思われるのは当然で、利用者の側から見た場合、この請求方法は実演文化の保護や促進よりも衰退を促しているように思えてなりません。
私はこの規定は見直すべきではないかと考えています。更に一歩推し進めて私が提唱したいのは、
{(入場料×入場者数)×使用料率5%×(対象曲数/総演奏曲)}+消費税相当額
ですかね。これが最も実態に見合ったものではないかと現時点では感じています。