紋切型の事をステレオタイプと表現すると思うのですが、私はステロタイプを使っていたのですよね。
と言うのも、元々ステロタイプだったものが、いつの間にかステレオタイプで定着したという歴史的経緯だと思っていたのです。みんながステレオステレオ言うものだから、逆にステロタイプを使っていた方がよかろうという天邪鬼根性もありつつ。
先日ステロタイプという言葉を書く機会があって、気になったので調べてみたのですが、どうも違うらしいと。いつだったか一度調べた時にステロタイプが正しいのだという結論になった気がするので、割と衝撃と言いますか。こんな事で衝撃を受ける人は他にいないと思いますけども。
元々は「ステレオタイプ」という鉛版の事を指す言葉だそうです。ステレオと言われても、今では音響用語としてのステレオ(立体)くらいしか馴染みがないのですが、Stereoには「固い」という意味があるのだそうで。知らなかったなぁ。で、型から同じものが大量に作られる様子から転じて、紋切型の物事を指してステレオタイプと言うようになったと。これが20世紀前半くらいの出来事だとかなんとか。で、アルファベットの綴りはそのまま”Stereotype”なわけです。私はてっきり”Sterotype”だと思ってたのです。この時点でほぼステロ教からステレオ教への改宗を余儀なくされるわけですけども、いやまだ論拠が薄いぞ、じゃあなんで両方存在してるのだと、もう少し調べてみました。
音響の”Stereo”を「ステロ」と言っても誰にも通じないように、”Stereotype”はどう頑張っても”ステロタイプ”にはならないわけですが、どうも英単語が日本に入ってきた際、最初に文字起こしをした人が聞こえたままにカナ転記してしまった事が原因のようです。そういうケースって他にもありますよね。ヒアリング能力に多大な問題があったんじゃないですかというものが。その一つという事で決まりのようです。
従って、ある程度以上の年代の方にとって「ステロタイプ」は馴染みがあるのですが、いつぞやから「ステレオタイプ」に置き換えられつつあるわけです。そうなると、日本人としてはステロタイプが元祖ですから、ステレオタイプは後から出てきた誤用であり、本当はステロタイプが正しいのだという主張が残ってしまったと。そんな風に納得いたしました。いや、誰が主張しているのか知りませんけども、少なくとも私はそう思い込んでました。
以上、きちんと整理しないとこんがらがって訳が分からなくなりそうだったお話でした。オチはない。