この事件、発生当時にかなり話題になりましたので、覚えている方も多いのではないかと思われます。
夫婦落とし穴死亡事故訴訟 友人らに賠償命令 金沢地裁
http://www.asahi.com/articles/ASGBW655FGBWPJLB00W.html
インターネッターたちの間では、バカが死んだだけですとか、自業自得という匿名特有のお決まりの論調が目立ったように記憶していますが、成り行きのあれこれはあれど、少なくとも若い方2人が亡くなっているわけで、あまり侮辱するような言葉は投げかけたくありません。まさかの事態が起こり、地中に生き埋めにされたお二方の恐怖を考えるだけでも痛ましい事故であろうと思います。
裁判では事故が予見できたかできなかったかが争点なわけですが、地裁は予見できたものと認定したと、そういうわけですね。高裁、最高裁と進むのかどうか分かりませんが、今後の展開が気になるところです。
個人的には、2.3メートルの穴となりますと、知らずに落ちた際、落ち方によっては危険があるものと思います。緩衝剤を敷いたとしても怪我を負うでしょうし、頭から転落すれば最悪死亡事故につながりかねない深さではないかと。
ともあれ法的な判断は裁判所にゆだねるとして、このような事故がなぜ起きたのか考えますと、テレビの影響が大きいのだろうと思うわけです。人間、普通に生きていて、落とし穴に他人を落として驚かせ、きっと喜んでくれるだろうなどという発想は出てこないと思うのですね。バラエティ番組を見ていないければ思いつかない事だと。なぜ楽しい誕生日に落とし穴に落ちなければならないのか私には理解できかねます。
しかしながら、そこで「だからテレビはけしからん」という方向性の話をするわけではなく、現実でテレビの出来事を真似してはいけないという事を学んでいくべきなのではないかと。
テレビに映る光景は、限りなく現実のように思えますけども、テレビはテレビの世界であり、あくまで計算された世界の出来事であり虚構なわけです。映画で人を撃ち殺しているからといっても現実ではしてはならないように、バラエティ番組で他人を落とし穴に落として笑っているからといって、現実で落とし穴に落としてしまうのは限りなく軽率な判断であろうと。
テレビで行われている事は、同じことを現実で素人が実行する場合に比べ、比較にならないほど計算され、お金をかけて各種対策が施されているはずなのですね。それでも稀に大きな事故が起こるわけですから、素人には到底防ぎようがないのではないかと。
テレビでもしょっちゅう事故が起きているのだから、安全対策が杜撰だという指摘もあろうとは思いますが、そこはそれ、彼らは仕事としてやっているわけで、当然契約も交わしているでしょう。万が一事故が起これば保険ですとか賠償ですとか、ある程度の保護を受けられる前提で、お互いに了承のうえで行われているわけで、事故が起これば取り返しがつかない一般人とは少し話が違うのではないかと。
フードファイトしかり、バラエティ番組の罰ゲームしかり、死亡事故やイジメにつながるとして次々と蓋をされてきたわけですけども、そもそもテレビの仕事、演出を興味本位で素人が真似する方が間違っているのだと思ったりするわけです。
何でもかんでも規制の方向に行くのではなく、テレビはテレビで虚構の世界なのだと強く啓蒙してく事の方が重要で、現実と虚構は異なるのだという認識を持っていれば、このような痛ましい事故は起こらなかったのではないかなとふと思ったのでありました。
別にテレビの肩を持つわけではないですけどね。私ももはやほとんど見てませんし。
末筆にはなりますが、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」の復活を切望いたします。やっぱり無理なんですかねぇ。