関東学院大学 管弦楽団 第6回定期演奏会

 知り合いが出演するというので行って来ました。

劇場支配人序曲 K.486/モーツァルト
ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11/ショパン
交響曲第8番 ト長調 Op.88/ドヴォルザーク

ピアノ:伊藤 亜純
指揮:安東 裕躬

 パンフレットを見ると、毎年初心者が入ってきて大変だというような事が書いてあったので、果たしてコンチェルトや交響曲が出来るんだろうか……と不安に思ったりしていたのですが、杞憂でした。卒業生やエキストラが多いのは否めませんが、それでも堂々のオケっぷりだったと思います。何より、オケを楽しもうという意識が現役生から見えたのが非常に良かったと思います。コンミスなんてきっと不安だったろうなぁ……。

 そうそう、コンミスといえば、オケが全員入場してからコンミスが遅れて入場するスタイルだったのですが、袖からの送り出しの拍手が無かったものだから、会場が静まり返ったままでしたね。あれはちょっと可哀想でした。自分が率先して拍手すれば良かったのですが、パンフレットに目を落としている間に入場が終わってしまって手遅れでした。観客の、オーケストラに対するリテラシーが不足している場合に起こる悲劇です。大学オケって、きっとオケそのものよりも子供の姿を見に来ている親御さんがメインの客層だと思うので、仕方ないですかね。こういう部分の理解も底上げしたいですね。

 劇場支配人は、へぇ、こういう曲なんだ。いかにもモーツァルトでございますねと思いながら聞いておりました。大きな破綻もなく、無難にまとめられていたのではないでしょうか。知らない曲なので、曲そのものの評価はできないというのが本当のところです。でも、一曲目を聞けば、「あ、言っているほど下手じゃないな」としっかり分かる出来でした。謙遜されているのでしょうね。

 ショパンはソリストに尽きるでしょう。めちゃめちゃ上手い。そして可愛らしい。なんなんだ。天は二物を与えるのか。不公平だ。私にも二物を与えてくれ。
 褒められ慣れてるでしょうし、私なんぞに褒められても嬉しくもなんともないでしょうから、特段褒めません。とにかく凄かった。
 オケですが、ちゃんとコンチェルト出来るんだ……。普段どれだけの練習量をこなしてるんだろう……と恐ろしいものを感じました。
 私はあんな曲振れる気がしないです。コンチェルト恐怖症なもので。やるなら真面目にさらいますけど。

 そしてドヴォ8。いやいや、前回私が本番でこの曲を振ってから実に3年近く経とうとしておりますが、改めていい曲だ。いい曲すぎて困った。9番より好きです。7≧8>9かなぁ。
 オケの気合も乗っていて、1楽章と4楽章では鳥肌が立ちました。よかったです。いいドヴォ8でした。指揮台に上がって振りたい衝動と闘っておりました。
 2楽章は2箇所ほどヒヤッとしましたね。2小節以内で修正出来ていましたが、何で事故ったのか、その場で分析して結論は出ました。自分の指揮に生かしたいですね。どうですかこの貪欲さ。

 アンコールはお約束ともいえるスラブ。どのオケでもそうですが、アンコールはのびのび弾いていて、一番上手く聞こえる事も。

 失礼な言い方になったら申し訳ないのですが、これはどんな大指揮者でも同じ事が言えるので誤解しないでください。
 指揮の安東さんは体力の関係もあってか、大きな振りがなかなか難しい時期に入ってきているのだと思います。モーツァルトやショパンは振り方と曲がマッチしていて良かったのですが、ドヴォルザークになると、わずかに物足りないかなという気がしてしまいました。それでも、安東さんのやりたい事をオケが理解し、極端に大きな振りをしなくてもきちんと応えていたのは普段のご指導あっての事なのでしょう。
 私なんかはドヴォルザークだととにかくぶん回して暴れるだけの品位の欠片も無い指揮になりがちですが、まさに大人の指揮というべきなんでしょうかね。

 弦楽器は人数が少なくて、エキストラが来ない普段の練習は苦労しているでしょうね。1stが4人で2ndが8人というアンバランスな割り振りだったのですが、初心者=2ndという発想で機械的に振り分けてしまっているのかなぁと思いました。個人的にはあまり正しい考え方だとは思っていませんが、曲で使用するポジションの事を考えると仕方ないのかもしれません。ドヴォ8は高いしな……。

 管楽器は概ね安定していました。音色も悪くないですし、多くの方は初心者じゃないですよね? オーボエがきちんとした音を出せるだけで、安心して聞く事が出来ます。たまにチューニングすら怪しいオケとかありますから……。

 そして個人的には、ティンパニの方がとてもいい音を出していたように思いました。学生の中ではMVPかなぁ。間違いなく初心者ではないですよね。あれで大学から始めましたって言われたらもう謝るしかないですね。

 伸びしろが大きいオケだけに、指揮のしがいがあるだろうなぁとオケを見ていて思いました。やればやるだけ伸びるでしょうし、団員の達成感も特別に大きいのではないでしょうか。学生オケって一度振ってみたいですね。一般のアマオケとは絶対違う空気があるだろうし、自分は経験してきていない世界なので興味があります。

 久しぶりにオケを観客として聴きに行ったけど、楽しかったです。やっぱり音楽は生で触れるに限ります。

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