唯一無二の存在

 唯一拝見したのは、ドゥダメル&シモン・ボリバルの来日公演なんですよね。確か国際フォーラムAだったと思う。
 開演前、真ん中後方くらいに座っていたのですが、視界にチラチラ入ってきてどうしても気になる人がいる。なんで一人の客がこんなに気になるんだろうと思って目を凝らしたら、小澤さんがホールの通路を座席に向かって歩いてたんですね。
 うわ、小澤だ! これはドゥダメルじゃなくてアルゲリッチを見に来ただけに違いない! とか思ったのは内緒ですが(実際、アルゲリッチの協奏曲が終わった後の休憩でいなくなった)、嫌でも目を引く人、つまりオーラがあるんだなと思い知りました。あれはなんなんですかね。小澤さんだって分かっていない状況ですでに気になるんですから。髪型か? いや、違うだろうな。
 残念ながら、指揮姿は一度も生で拝見できませんでした。小澤さんの棒で演奏した方のお話なら割と聞いているのですが。
 魑魅魍魎が跋扈する大変な世界ですから、墓まで持っていった話も数え切れないと思います。とことん腹を割ったラストインタビューとか自伝とかないんでしょうか。とても気になります。
 もしもあの世があるなら、カラヤン先生らと一緒に、最近の若いやつらは! などと言いつつ下界の様子を楽しまれることでしょう。
 長きにわたり最前線での牽引、本当にお疲れ様でした。ゆっくりおやすみください。

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