全員にアルコール飲み放題を強制する居酒屋は経営リスクを判断できているのか
ずっと納得のいっていない、というか明らかにおかしいことが一つあります。
居酒屋のコースを注文するとき、多くの店では「全員同じコースを注文しなければならない」という謎のルールがありますよね。これってお店的には管理上のメリットがありますが、反面、非常に法的リスクの高い方法だと思うのですね。
私が一応訊いてみるのは以下。
・アルコールを飲めない体質の人間がいる
・車利用者がいる
この2点がある場合も、アルコール飲み放題とソフトドリンク飲み放題に分けることはできないのか、という質問です。
大抵の店は、決まりなのでと何も考えずに拒否してきます。稀に論理の分かる店員がいる店だと対応してくれます。
アルコールが飲めない客が飲むか否か。これは個人の問題なのでまぁいいです――ソフトドリンクだけでアルコールの料金を取るのはどうなのかという話は別ですが――。問題は車利用の人がいる場合です。
昔は大変緩かったですが、今は道路交通法第65条第3項「酒類提供罪」が存在します。
構成要件は「飲酒運転をするおそれがある者に対して、酒類を提供または飲酒をすすめる行為」です。
今、居酒屋では入店時に「お車でお越しの方はいらっしゃいませんか?」と形式的な質問があります。ここで「はい」と答えるか、訊かれなくともこちらから「車で来ている人間がいる」と伝えることで、居酒屋としては「アルコールを提供してはならない客がいる」ということを認識したという評価になるはずです。
そこまで確認したうえで、アルコールを注文できるコースを強制で選択させるのは「飲酒をすすめる行為」に該当しかねません。アルコールが飲める状態におくわけですから。また、該当者が注文しない保障はどこにもないわけで、アルコール飲み放題コースを注文させられた車利用客がアルコールを注文せず、口にしないということの真正について、店としてどのように担保しているのでしょうか。飲んだ本人が悪いのであって提供した側は悪くない、という言い訳ができないように道路交通法第65条第3項が存在しますので、一口でも口にした時点で「酒類提供罪」が成立し(実際には飲酒運転が発覚した時点で、ですが)、
飲酒運転周辺者(車両等の提供者、酒類の提供者、車両の同乗者)に対する罰則
・運転者が酒酔い運転 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
・運転者が酒気帯び運転 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
のいずれかとなります。店は確実に営業停止処分でしょう。罰金以上の多大な損害が出ることになります。また、飲酒運転が発生しなくとも、提供したという事実により、行政処分で民事上の責任を問われたケースはあるようです。
これが、店側が「車利用者にアルコールのコースは提供できません」と断ったうえで、店が預かり知らぬところで客が勝手に飲んだのなら店の責任は問われないでしょう。だから、私はアルコールコースの強制はおかしいとずっと思っているのです。
アルコールとノンアルコールの差額を得るために重大な法的リスクを負うのはどういう経営判断なんだとしか思えないんですよね。
