映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城

 元が名作、人気作でありながらリメイクされてこなかった一作。期待値が高いだけにプレッシャーも大きいのではと思いつつ見た。

 原作を上手く令和版として落とし込んであったし、面白かった。原作からそうなのだが、表題になっている「鬼岩城」は実はオマケ。話の後半でようやく出てくる程度で、大切なのはそこではなく、人間と、人間の感情を理解しようとする機械(今作ではAI)の触れ合いと変化である。異文化の相互理解の話とも言えるだろう。

 面白かったのだが、ただ、クライマックスのカタルシスがあまりに足りないというか、見せ方が下手すぎた。自分が脚本や演出をすれば良くなるなどとは何があっても思わないが、映画を沢山見てきた人間としては、もっともっとカタルシスを演出することができたのは間違いないと思っている。卑近な例を出すなら、「インデペンデンス・デイ」「アポロ13」「アルマゲドン」などなど、参考にできる映画は山程ある。「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」だっていいわけだ。ああいったハリウッド映画のクライマックスシーンの高揚感。それらをお手本にしているのは分かった。分かったが感じなかった。10必要なところで2くらいしか出力されていない印象だ。尺の都合でもなんでもない。ただただ演出の問題だと思う。あのクライマックスがどうしてああまで薄っぺらい見せ方になってしまったのか。ここだけが残念すぎてならない。

 あと、原作の機械のくせに何故か汗をかいたり焦ったりする人間味のあるポセイドンが大好きな私は、冷徹なAIと化したポセイドンに魅力は感じなかったのでした。本来あるはずの藤子・F・不二雄の魅力を打ち消してしまっている箇所かなと思う。もはや時代が違うので仕方がないのですけどね……。バギーちゃんも前作みたいな機械っぽい喋り方の方がサマになってますよね。今どき機械音声もおかしいのでしょうけど……。ゲスト声優の芸人枠が完全にちょい役で全く分からなかったのはとても良かった。

 来年はオリジナルみたいですね。ヒントは時計台と汽車。何がモチーフになるんでしょうか。