去る16日の日曜日、ついにオケ活動が再開となりました。
最後に指揮をしたのが3月1日でしたので、ジャスト5ヶ月半の休止期間となりました。5ヶ月半、指揮の予定が一本も無い。ここまでの空白期間は今まで一度もありませんでしたし、こんなことが起こるなんて全く考えていませんでした。
一足先に活動を再開したプロの皆様のSNS等を見ていると、
「合奏が出来るありがたみを噛みしめることができました」
「一緒に演奏出来る人がいることの幸せを思い知りました」
「楽しすぎました」
とか、そういう感想が山のように出てきていて羨ましく思っていたので、自分は一体どんな感情になるかなと実はひっそりと楽しみにしていたのです。感動のあまり泣くのかなとか。言葉も出ないほど感動するのかなとか。感無量で動けなくなるのかなとか。が、まぁ実に面白味のない結果となりました。休止前と何ら変わることなく、いつも通りでした。普通に始まって普通に終わる。変わらなすぎてびっくりというか、全くもって休止前と同じ。拍子抜けしてしまいました。
あれ、自分はもしかして相当ドライな人間なのか? 血も涙もない野郎なのか? と自問自答したのですが、まぁ実際そう思ったのだから仕方がないですよね。
考えた末の結論としては、いつも指揮をするたびにありがたみを感じているし、いつも幸せだと思っているし、いつも楽しすぎるから、それ以上感じようがないのだということにして納得することにしました。つまり、毎回毎回を大切にしているし、指揮をしている日常が当たり前のものになっていないと。そうじゃなきゃ、人としてどうなんだよという感じですよね。でも、そういうことにしておけば、ものすごい偉い人みたいですよね。よかったよかった。あはは。
それよりも、5ヶ月半空いたので、やっぱりなかなか手が動かない。これは困ったなぁと。戻るのにどれくらいかかりますかね。練習が出来ないとかそういうことはないんですが、思い通りになるまではしばらくリハビリが必要ですね。
奏者同士のソーシャルディスタンスについても、ちょっと無理があるかなという感想です。
オケは最小編成でも弦楽器の最前列から数えると5~6列はあります。各2mの感覚を空けるわけですから、最後列まで最短で8m空くんですよね。もうね、最後列に陣取ったホルンまで遥かなる距離でした。第九の合唱団の最後列じゃないんだぞと。この距離を保って大人数が入れる舞台はちょっとないですよね。
それに、何より合奏に大きな影響があります。オーケストラは奏者間のアンサンブルが最重要なわけですが、これがかなり難しそうです。
出来ないことはないです。が、これが新しい世の中のオーケストラの形ですよとそのまま受け入れることには疑問があります。今までより演奏クオリティが落ちることは必定で、それをお客様に、はいどうぞと出すのはどうなんだろうなと考えこんでしまいます。が、今はそれが精一杯なので、やるしかないのですが。
受け入れるのではなく、今は仕方がないけども、元に戻していく努力は絶対に必要だと強く思いました。
日本オーケストラ連盟を始めとする各団体が様々な実験をしてくれていますので、希望の持てる結果を見たいですし、それを世の中が受け入れてくれるように努力しなければならないと思います。いくら実験結果が良くても、ホール等がダメだと言えばその通りにはできないわけですから。
オーケストラ受難の時代はまだまだ続きそうですが、私的には小さな一歩を踏み出せたことを大変喜ばしく思っています。
それにしても、マスクとフェイスシールド両方必須で5m空けるというのは本当にめちゃくちゃです。どういう基準で決めたんですかとホールの事務所に聞きに行ったのですが、話が噛み合わず、全く埒が明きませんでした。
マスク無しで大きなくしゃみをしたとき、ようやく5m飛ぶくらいなんですよ。科学的にも実証されているし、オーケストラ連盟等が実験をして結果が出ているんですよ。と言っても、吹奏楽はどうのこうの、吹奏楽はどうのこうのと同じことを繰り返すばかり。吹奏楽の話なんて誰もしてないのに。全く理解不能です。
5mなんて聞いたことがないんですが、どういう基準なんですかという質問に対しても、対面になるので。吹奏楽の楽器は2mは離れなければならないですし。と繰り返すばかり。もしかして、対面だからお互いに2mと2mで4m、余裕を持って5mと思ってるんじゃないでしょうか。だとしたら小学生並みの考え方も出来ない相当なバカですよね。自分から2m飛ぶと仮定して、対面だからなら4mってどんな計算だよ。なんでだよ。
いや、でもマスクありで5mなんて話しているだけじゃ飛ばないですからと言っても、最終的には、今はとにかく感染を予防しなければいけませんからね。と借字定規な答えしか帰ってきませんでした。お役所仕事万歳!
別に5mは嫌だというクレームじゃなくて、確認と現場の意見として話しにいっただけなのに、事務所にいた人たちは、クレーマーが来たみたいな顔つきになってたし。なんなんだろう。嫌だなぁ。
で、決まりは決まりで仕方がないですからマスクとフェイスシールドをしましたが、実は指揮って思いの外運動しているので、フェイスシールドはすぐに曇って前が見えなくなるし、手があたってずれるし、マスクとフェイスシールドで息苦しくて息切れするし、ちょっと無理でしょこれという状態でした。コロナ以前に熱中症で倒れるぞと。
そこで、オケの方がご用意くださった眼鏡型のフェイスシールドに切り替えたところ、これが効果覿面。ほぼ影響なく続けることが出来ました。これからフェイスシールドありで指揮をする必要がある方々には眼鏡型がおすすめです。
さて、大事なのはここからで、コロナ休業の約半年間、実はビールやお酒全般があまり美味しく感じなかったのです。たまに飲むのですが、うーん……別に無理に飲まなくてもいいや、と。
ところが! 練習後に呑んだ、キンキンに冷えたビールは!!! 最高でした!!!!! ほんっっっとうに美味かった!!!!!
これだよ! これ! このために音楽やってるんだよオイ! と忘れかけていたものを思い出しましたね。いや、もう、ビールってこんなに美味しかったっけと思うくらい幸せな瞬間でした。すごい笑顔になってしまいましたね。ああ、やっぱり練習楽しかったんじゃん、嬉しかったんじゃんと。よかったです。これが無かったら果たして音楽続けてるかなぁ……。
こんな美味しいビールが飲めるようにこれからも頑張っていきたいと思います!
そして今週末もオケあるよ! っていうか、これからしばらく毎週あるよ! やったー! 頑張ろう!