東京に進出している有名博多ラーメンは「一蘭」>「九州じゃんがららあめん」>>>「一風堂」という感じであります。一風堂だけはどうにも一段落ちるというか、別に足を運ぶほどじゃないななどと思っておりました。
先日、黒船の反省会にてラーメンの話になりまして、その時に「一風堂は好きじゃない」と発言したところ、「いやいや、美味しいんですって! 大森にある一風堂だけは違いますから! あそこは創業当時の味で出してるんですよ!」などと熱弁されまして、そこまで薦められたら行かないわけにはいくまいと、特に用事もないのに大森まで、ただラーメンを食べるためだけに行ってまいりました。本番前日の贅沢ってことで。
お店がやたらシャレオツなのが気になります。若者向けなのかなんなのか。昭和な漢である私としては、ちょっと居づらい感じがいたしました。お店のおねえちゃんも若くて綺麗どころを狙って採用している雰囲気であります。しかも私以外の、私以外の、私以外の客にやたら話かけておりました。「お客さん、初めてですかぁ? トッピング分かります?」「あ、はい、初めてで……。オススメってあるんですか?」「うーん、辛子高菜とかどうですか!?」……何の店なんだここは。
まぁそこはラーメンの味こそが最重要でありまして、
・シロマルベース
・特濃
・はりがね(本当は粉落としを頼みたいけどなかった)
・キクラゲ
・激辛高菜
という組み合わせで注文。紙に書いて提出するあたり、一蘭を彷彿とさせます。
博多ラーメンらしく、注文からほぼ待たせずに運ばれてまいります。
あれっ!? 辛子高菜は!? 私の辛子高菜は!? ねぇ!
と思った貴方、安心してください。辛子高菜は別皿で出てくるのです。最初から高菜をスープに混ぜられたのではたまったものではありません。スープにインして出てきたらどうしようかと思いましたが、そのあたりはしっかりしているようです。
食べてみますと、確かに美味しい。これは美味しい。これなら近所にあれば行ってもいい。それくらいの美味しさでして、一風堂のよろしくないイメージを払拭させてくれました。
卓上トッピングはおろしニンニクと紅ショウガ、生ニンニク(絞り器付)。食べ終わるころ、隣のテーブルにゴマとコショウがあることに気づくも後の祭り。それにしても、ラーメンのスープに味の変わるものを直接入れるのはよくないと思うんですよね。わたくし、そのあたり頭を使いまして、家系ラーメンでもなんでももっぱらレンゲに少量の薬味を入れ、レンゲの中という小宇宙でスープと混ぜあわせて味わうという高度な必殺技を考案し、長年実践しております(註:必殺技といっても殺しません)。だってスープにニンニクを入れたら取り返しがつかないんですよ? 二度と元の味には戻せないんですよ? いくら頑張ってもライトサイドには帰ってこれない。一度堕ちたら一生ダークサイドでいいんですか? 残りの麺をずっと同じ味で食べるんですよ? どうしてそんなことをしてよいのでしょうか。私にとっては難解な問題です。辛子高菜も同じことです。
そしてもちろん替え玉を注文。このお店も他と同じで、同じ呼称でもやはり替え玉の方が硬い。替え玉の硬さこそ至高。替え玉を頼まざるは博多ざるなりけりことなかれ。そして替え玉もあと数口で尽きる頃、最後だけはお祭りだと言わんばかりに、ヤクミオールスターズをごちゃ混ぜにして食べて完食。無論、生ニンニクも絞ったよ。
で、美味しいと同時に思ったのが「あ、これ一蘭の味だ」でありまして、わざわざ大森まで電車で行くなら横浜にある一蘭でいいかな……と思ってしまったのもまた事実であります。ただ、一蘭と並ぶ味ですので、要するに美味しいです。どうして美味しくない方向に舵取りをしてしまったのか。マイルド路線こそが大衆化だと思ったのでしょうか。悔やまれるべきことではないかと思う次第です。でも大森の一風堂は美味しかったよ!
とりあえず本場博多で博多ラーメンをたくさん食べたいです。一日も早い復興を願うとともに、食で貢献できるならいくらでもさせていただきたいと思います。ごちそうさまでした。