それにしても最悪な顛末だなぁと思ったので書いてしまいます。
私は元々山口投手はそれほど評価していなかった（文字で書くと偉そうに見えて申し訳ないですが）ので、出ていくなら仕方ないですよね程度の感想なのではありますが、FA宣言からの一連の流れは本当に最悪だなぁと。ファンの気持ちを逆撫でしているようにしか見えない行動につきまして、炎上防止のアシスタントを雇った方が良かったのではないかと思った次第です。
以前の記事*にも書きましたが、FAは働いた選手が獲得する正当な権利であり、どのように行使しようと自由なのです。自由ではありますが、プロ野球選手という職業柄、常に多くの人々に見られているという点も考慮しなければならないわけで、自ら出身チームを後にするというのは、非常にセンシティブな対応が求められるものと思います。
*山口投手FA宣言をするの巻
http://blog.185usk.com/2016/11/post-392243.htm
最近では内川、村田といった看板選手がFA宣言で他球団へ移籍いたしましたが、両者とも元気玉の如くファンのヘイトを集めて去っていかれまして、未だに横浜スタジアムの敷居を跨げば野次が飛ばされるという具合です。当時は横浜のチーム内やフロントが酷い有様だったようなので、彼らの移籍は仕方がない部分もあったのだと思います。酷い対応の結果が酷い態度に現れていたのでしょう。
ただ、そういった事情がもしあったとしても、ファン心理を考えますと、やはりブーイングを受ける対象になってしまうというのは避けられないものでして、山口投手も恐らくそのコースを歩んでいかれるのだろうと確信しております。
不味い対応についてはいくつかありました。
1.チームがようやく長い暗黒期を脱したと思われるまさにその時
2.FA宣言をして号泣会見
3.讀賣と真っ先に交渉
4.チーム愛を語り迷いを見せる
5.それでいて結局お金が決め手
6.退団は決めたけど移籍先は決めていない
どれか一つや二つならまだしも、これはもう数え役満でしょう。
1は説明するまでもありません。なぜ今なんだと、それだけです。
3はどうしても印象が悪くなってしまいます。FA宣言で讀賣に移籍して賞賛された選手は見た記憶がありません。例え本人の気持ちが違ったとしても、ファンには「やはり金か」と勘ぐられてしまうものと思われます。
2と4と5は複合することで化学反応を起こし、激しく燃焼しております。いくつかの報道を総合しますと、
山口投手曰く
「プロ選手として条件というところで折り合いがつかなかった」
判断基準として「誠意が一番になります」
「僕の考えた条件を提示させてもらいましたが、最終的に折り合いがつかなかった」
萩原龍大チーム統括部長曰く
「俊（山口）の希望とウチが提示した条件に開きがあった」
高田GM曰く
「ウチは…無理だ」
つまり「条件」=「誠意」=「金」じゃないかという結論にしかならないわけで、横浜にとって最大限の誠意の金額提示に対して「ボクの考える誠意」という逆提示まで行ったうえで「そんなんじゃ折り合わねぇわ」では、号泣とかチーム愛とか何だったんだよと余計にヘイトを集めてしまう結果になりそうです。誠意があるなら讀賣並の金出せよということに他ならないわけで、誠意とは一体何なのでありましょうか。考えさせられます。いっそ福留外野手が言い放った「誠意は言葉ではなく金額」くらいはっきりとした方が、まだマシだったように感じるのは私だけでしょうか。
この手の危機管理といたしましては、「誠意」だ「愛」だと綺麗事を言いながら、最後は金が決め手かと思われてしまうのが最悪手であり、今回の山口投手の言動はまさにそのド真ん中を行かんが如きです。メンタルが弱いのにすごい度胸だと思ってやみません。
それと疑問なのが、移籍先が決まらないまま退団を申し入れたことでして、もしですよ、讀賣も中日も手のひらを返して「やっぱいらないです」と言い始めたらどうするんでしょうか。浪人？ 引退？ 転職において、次の就職先が未定のまま退職することはあれど、プロ野球選手でそれってあるのかなと。私の狭い知見ではちょっと聞いたことがありません。まぁそんな事態はあり得ないんでしょうけども。
とはいえ、プロ野球選手という実働期間がとても短い世界ですので、稼げるときに稼いでおくのは至極正しい決断だとは思います。2億違ったら、その後の人生まるで違うでしょうし。正しいだけに、それをいかに上手く世間に見せ、納得してもらえるかということも大切だと思うのですが、これは完全に失敗例ということで、私がいつかドラフトにかかり、FA宣言をするに至った際の教訓として活かしていければと思っております。
ところで人的補償で村田が戻ってきたら最高にお笑いだと思うのですが、プロテクト外れてたりしないんでしょうか。いらないけど。