「乗り番」「降り番」の謎

 管弦楽や吹奏楽(まとめた言い方ないですかね)に関わっている人なら必ず聞いたことがあるどころか日常的に使うであろう業界用語の「乗り番」、「降り番」ですが、この由来について、昔違う言葉を聞いたような記憶があるんですよね。

 まず何のことだか分からない人のために解説すると、オケや吹奏楽では本番で演奏することを「乗る」、出番が無いので舞台に乗らないことを「降りる」と言います(舞台芸術全般で使っている言葉かもしれませんが、そこまでは知らないのでオケと吹奏楽に限定します)。

 従って、プレイヤーの間ではこういう会話が発生します。

「ちゃん○○~、カイジーのバンホンはルーノーなの?」
「ズーニンがエーニンでテールーターリーだからリーオーになったでござるよ」

 多くの方は知らないと思いますが、オケ奏者は語尾に「ござる」をつけるのがカッコイイとされているのです。これでは意味が分からないので、一般的な言葉に直すとこうなります。

「○○ちゃん、次回の本番は乗るの?」
「人数が3人で足りてるから降りることになったよ」

 こんな業界用語で会話している人なんて一人もいないし、業界用語とか関係ない今作った創作なんですけどね。今日び「ござる」なんて忍者しか使いませんからね。

 で、出番があることを「乗り番」、出番が無いことを「降り番」というのですが、昔、これは本当は「乗り板」、「降り板」なんだよと聞いたような記憶があるんです。

 誰かに言われたのか、どこかで見たのかは覚えていないのですが、なんだかとても年配の引退したプロ奏者の言葉だったような気がうっすらとします。で、確かに言われてみればそうかもしれないとずっと思っているんです。

 舞台用語では「舞台」のことを「板」と言うのです。ですから、公演の開幕から舞台にいる状態を「板付き」と言います。最初から舞台に付いているから「板付き」なわけです。

 舞台、すわなち「板」に乗るから「乗り板」。「板」から乗らないから「降り板」。これはとても論理的で、一般的でなくても間違いとは言えないのではないかと思うのですが、どうなんでしょう。でも今までこの文字を使っている人はお目にかかったことがなく、どうなんだろうなぁと不思議に思いつづけてウン十年が経過してしまって、このまま墓に入るのではないかと気が気でなりません。

 例え私だけでも積極的に使っていっていいものでしょうか。語源捜索隊を結成してクラウドファンディングを募ってそのお金で豪遊したいです。もちろん返金はしません。