バーチャルボーイの話になると大抵、
「失敗作」
「任天堂が忘れたい過去」
なんて否定的な言葉ばかりが出てくるのですが、否定したり批判している人の9割以上が、たぶんバーチャルボーイで遊んだことがないと思います。私は持ってますよ、バーチャルボーイ。
売り上げを見れば明らかに失敗ですし、人に遊ばれなければ意味がないわけですから、否定的な言葉が多く出てくるのも分かります。
ですが、単純に玩具、オモチャとしてバーチャルボーイを評価しろと言われたら、失敗とは思えないのです。
簡単に言ってしまえば、出すのが20年早かった。
発売から既に15年経ってますが、あと5年後に出したら売れるのかと言われるとまだ時期尚早な気がしますので、20年では足りないかもしれません。30~40年くらい?
これは私が予想するゲームの行く先にも通じるのですが、ゲームは恐らくHMD(*1)の方向に
向かっていくのではないかと私は思っています。HMDでゲームをやったら楽しいだろうなという願望混じりではあるのですが。
バーチャルボーイは、大きなHMDといっていいでしょう。ただ、大きくて重いので頭に装着することは出来ず、机などに置いて覗き込んで遊びます。
視界密閉型なので、外界の光は遮断され、画面以外は目に入ってこず、普通のゲームとは没入感がまるで違います。自分が別世界にいるような感覚です。
右目と左目に専用のディスプレイが用意されており独立した映像を左右で見ることになるので、3DSのような視差バリアも不要ですし、専用メガネも必要ありません。
当時の技術の限界なのでしょう、画面は黒赤2色という地味なものなのですがその3D体験は驚くべきもので、はっきり言って3DSの比ではありません。
ただ、遊んでいると、自分以外の人が画面を見ることができないので、場の共有ができないんですね。
他人がプレイを進めるのを見て、ちょっとコントローラー貸してよっていう、あれが出来ない。プレイしていない人から見れば異様な感じなんです。
でも、それで得られる没入感が素晴らしすぎて、別に人になんて見せなくていい! と思ってしまいます。
今ならきっと、当時無理だったことが技術で解決できるんじゃないでしょうか。
カラー化はもちろん可能でしょうし、無線を使って多人数で3D空間を共有することだって出来るでしょう。大勢で楽しむなら、テレビにプレイ中の画面を映すことだって出来るはずです。
そう考えると、私程度の発想で考えうる欠点は無くなるので、そろそろバーチャルボーイの進化系が出てきてもおかしくないんじゃないかと思うんですよね。どうしても色物扱いされるとは思いますが、もし出たら私は絶対買いますね。
Wiiリモコンを出して3Dゲーム機を出し、どんどん体感、実感する方向にシフトしている最近の任天堂ですから、ひょっとするといつか……なんて淡い期待を抱いたりしています。
ゲームに限らず、HMDの将来性というのはかなりあると思ってるんですが、いつまで経ってもまるで実用化されませんね。
一人暮らしなら、大きなテレビじゃなくて、高性能なHMDがあれば充分なのに。と何度思ったことか。
ともかく、売り上げを度外視すれば、バーチャルボーイは間違いなく素敵ハードなのです。
3Dとかワクワク感という面を重視するなら、3DSより評価したいくらいです。
言葉でいくら飾っても伝えられませんので、未体験の方は機会があれば是非一度お試しあれ。
事実上失敗してしまったけど、横井軍平(*2)さんという人は、アイディア、ひらめきの塊だったんだなと
思ってなりません。ご存命なら今頃何をしてたんでしょうね……。
*1)ヘッド・マウント・ディスプレイ(Wikipedia)の略
*2)横井軍平(wikipedia)。故人。
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