嘘のような本当の話って存在するんですね

 面白いなぁ、この話。

“憎悪”はバルサの力の源泉。CL決勝を前に変わらぬ流儀。フィーゴは今も許されざる者。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/komiyayoshiyuki/20150604-00046325/

 面白いというのは途中で紹介されている逸話。逸話といっても事実だそうで。事前知識として

クレ=バルササポーター

メレンゲ=マドリーサポーター

 だそうです。

長年バルサのソシオ(チーム会員)だった老父が病に伏せり、いよいよ厳しい様態になったとき、息子たちを集めると嗄れた声で言った。

「遺産はおまえたちが均等に分けろ。ただし、1000ユーロは俺をマドリーのソシオにするために使え」

息子たちは一同、肺腑を衝かれる思いだった。死期の近づいた父はいよいよ気が触れたのだ、と悲しんだ。

「父さん、おかしな話をしないでくれよ。僕たち一家は、生まれついてのクレじゃないか!」

一人の息子が声を裏返し、父を正気に戻そうと必死になった。

すると、父は毒気のある笑みを口の端に浮かべた。

「誰に物を言っておる。当たり前だろうが」

息子たちはいよいよ訝しんだ。頭の中で物事が整理できず、意味不明なことを言っているのだと、神様に祈りたい気持ちになった。

「だったら、変な冗談はよしてくれ」

息子たちが一斉に懇願するような目をすると、息も苦しいはずの父が、にやにやしながら続けた。

「俺は本気だぞ。これでクレが死ぬことはないと思わんか? メレンゲのクソ親父がくたばるだけだ。おまえらも大いに喜べ」

息子たちは雷に打たれたように一斉に病室を出て、父をマドリーのソシオ登録をするために駆け出していった。息を引き取るために手続きを終えなければならない。

「メレンゲを一人殺せるぞ!」

息子たちの双眸は、何かに取り憑かれたように血走っていた―。

 いやぁ、面白い。いや、笑えないんですけど。笑えないんですけど笑ってしまう。最高ですね。日本じゃなかなか考えられないんじゃないですかね。あるとしたら5球団vs讀賣の構図ですが、ここまで本気で憎むということもないでしょうし、あったとしても良識派を自認する人から批判の的になるんじゃないでしょうか。

 そこまでスポーツ観戦に人生かけられないわなぁと思うと同時に、私はこういう話、好きだなぁ。