人間は実際に体験しなければ想像できない生き物なのか

 先日の台風10号により、東北地方、北海道で大きな被害が出ております。場所によっては、東日本大震災以上の被害状況だそうです。

 それほどの被害が出ていながら、東日本大震災ではTwitter等であれだけ支援の機運が高まったのに対し、今回の台風では募金や支援が広く呼びかけられるでもなく、まるで何事も無かったかのように日常が過ぎていっているように見受けられます。

 何故か。恐らく体験していないから、実感が無いのではなかろうかと。あの台風は大したものではなかったと、無意識の部分でそう思っているからではないかと思われます。

 震災の時は、関東でも人生で感じたことのない、死に直結しかねないレヴェルの揺れを実際に感じ、交通機関は大混乱、帰宅ができないなど実害が出たため、その経験を元にして被害の大きかった地域のことを想像することができました。テレビでも、人の命が無くなる瞬間を生で報道していました。しかし、今回の台風は関東では夜の間に大した実害もなく通りすぎていったわけです。だから他人事としか思えない。自分には関係ない。あれしきの台風ごときで騒ぐな。そんな心理が多少なりともあるのではないでしょうか。

 震災の時もそうだったのですが、結局テレビからは実情は伝わってきません。テレビからは作られた世界だけが伝わってくる。見せたいと思ったものだけが切り取られて運ばれてくる。だから、残念ながらニュースを見ていたって分かりゃしません。

 私も今現地に友人がいるので被害の甚大さを想像できているのですが、そうでなければ何も感じなかったかもしれません。自らの想像力の欠如具合を嘆くばかりです。そんな自戒も込めつつ、本当に大変なことになっているのだということを、私の知り合いにだけでも知っていただければと筆を取った次第です。

 こういう時、音楽では何一つできないのが無力で腹立たしい限りです。