10年目の大きな発表


 こんにちは、福山雅治です。間違えました。市原指揮者です。

 少し前からトゥイッターに書いていた大きな発表ですが、本日ようやくお知らせ出来るようになりました。良いことや楽しいことは一刻も早く共有したい性質なので、黙っているのが苦手でそわそわしておりました。さて、一体何かと申しますと……

 スクウェア・エニックスより7月12日(水)からニンテンドー3DS専用ソフトとしてリリースされる「ピクトロジカ ファイナルファンタジー≒」のゲーム内BGMの演奏を新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団が担当させていただき、実際にゲーム中で流れます!!!

ピクトロジカ ファイナルファンタジー≒
http://www.jp.square-enix.com/p_ffne/

 ということで、なんと新日本BGMフィルが最新ゲームのBGM演奏を担当させていただきました!!! うわー!!! やったー!!! おめでたい!!!

レコーディングスタジオ内の様子。

レコーディングスタジオ内の様子。

 そして個人的な部分としては、不肖市原が「指揮 市原雄亮」としてスタッフロールにクレジットされております!!! ゲームのスタッフロールに名前が掲載されるということで、一つ夢が叶いました!!!  うおおおおおおおおお!!!

 若き頃、ゲームクリエイターになりたいと思った時期もありましたので、こうした形で実際に世に出るゲームに関わらせていただき、スタッフロールに名前が掲載されるというのは格別に嬉しいのです。しかもそれが「ファイナルファンタジー」の名を冠するゲームだなんて! なんということでしょう!

 新日本BGMフィルの他メンバーは「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U」や「世界樹の迷宮」シリーズ等、様々なゲームのレコーディングに携わっていて、スタッフロールに名前が掲載されるということに慣れていると思うのですが、私は正真正銘これが初めてです。通常、レコーディングの時に指揮者なんていらないわけで、他のメンバーがレコーディングに関わっているのを、頑張れーと思う反面、いいないいなと指をくわえて見ておりました。それが今回、ついにオーケストラでのレコーディングということになり、指揮者として関わることが出来ました。 感無量です。

 自分の名前が載るのも嬉しいですが、何が嬉しいって、やっぱりメンバー皆でレコーディングが出来たということですよ。先ほども書きましたが、個別にはレコーディングをやっていたのですが、全員でというのはこれが初めてでして、「新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団」としての記念すべき初レコーディングということになります。スタッフロールにも「演奏:新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団」とクレジットされています。これは嬉しいです。ついに出来たなぁと。

 本作のBGMは、新日本BGMフィルが定期的に開催している「NJBP Live!」と同規模のオーケストラによる演奏です。それも楽器毎に個別の録音ではなく、全員がせーので一緒に演奏する、普通にオーケストラとして演奏したものがそのまま使われているのです。演奏する場所がホールではなくレコーディングスタジオであって、お客様の代わりにガラスを隔てたコントロールルームに水田さんをはじめ、羽田さんやエンジニアの方々がいるという違いくらいです。だからこそ指揮者の出番があったわけです。

レコーディング中の様子。(撮影:羽田さん)

レコーディング中の様子。(撮影:羽田さん)

 タイトルバックやムービー時のBGM限定ではなく、本ゲームプレイ中に流れる多くの曲、パズルを解いている時の曲から、戦闘曲等、ほぼ全編にわたって生演奏が採用されています。私はこうしたレコーディング等で指揮をする際に一つこだわりがあって、おかげさまで今回もそれを貫くことができました。

 何かと申しますと、クリックを使わないというものです。クリックというのは、イヤホンから正確にテンポを刻むメトロノームの音が流れてきて、それに合わせて演奏するというもので、レコーディングでは当たり前のように使われています。使わない方が非常識くらいに思って間違いないです。

 ですが私は、使わなければもはやどうにもならないという状況以外では使わないと決めているのですね。理由は話が逸れるので書きませんが。実は、昨年末に開催された「消滅都市 フューチャーコンサート」でもクリックを一切使わずに全公演を乗り切りました。曲順ランダムでDJのかける音楽に合わせてオケが狂いなく演奏する必要があるコンサートでしたので、まず99.9%の人が即クリック使用を選択すると思うのですが、使わずに済むようDJのお二人に色々とご協力もいただきつつ、結果最後までクリックを使うことなく終えることができました。今回もそうですが、これは周りの皆さんの理解と協力あってのことで、大変ありがたく思っています。

 今回のレコーディングはゲーム音楽ですから、ほとんどがループする曲です。ですので、曲の前半と後半でテンポがずれていてはいけないわけです。ループが繋がらないから。ですが、人間ですから多少テンポが揺れることは避けられず、そのため流石にクリックを使うべきかと悩んだ部分はありました。しかし、リハーサルで使わずにやってみたところ、大丈夫という判断を頂きまして、それなら無しでと、本番もクリック一切無し、かつメトロノームを見ることもなく、真正面からのオケ演奏になっております。水田さんありがとうございました。そして、あれだけの人数の演奏でもテンポを変えることなく演奏しきるメンバーを見て、他人事のように「プロってすげぇなぁ」と思ってました。信頼できるメンバーだからこそ出来たことだと思います。本当にありがとうございました。

 レコーディングは最初は大人しい感じだったのですが、メンバーにもだんだんと熱が入ってきまして、一旦OKが出たテイクでも、今のどこどこが納得いかなかったのでもう一回お願いします! など自己申告にてリテイクを重ねたりと、出来る限り良いものを作りたいという音楽家の根性を見ました。それによって全員がやり直すわけですからね。やり直した結果、自分が納得いってもそのテイクで誰かが間違えればやり直しになるわけで、無間地獄に落ちていきそうな危うさがあります。それでも皆、前を向いて最後までやってくれました。すごいです。

参加したメンバーで一枚。

参加したメンバーで一枚。

 そんなこんなで完成した「ピクトロジカ ファイナルファンタジー≒」のBGMですが、水田さんの書く曲は素晴らしい曲ばかりで、音楽だけではなく、水田さんご本人のことも含め、メンバー一同大好きです。 基本プレイ無料とのことですので、3DSをお持ちの皆様、是非遊んでみてください! そして私の名前が本当にスタッフロールに掲載されているのか確認してみてください。これで無かったらかなり笑えますね。さあ本当にあるかな? ないかな?

 さて、実は私は昨年の7月で指揮活動10周年だったのです。音大も出ておらず、音楽仲間もおらず、何の後ろ盾も無い人間が、突然指揮者になると言い出して指揮活動を始め、10年後に、ゲームに使われる音楽の指揮を担当しているなんて、誰が考えたでしょうか。恐らく地球上で誰も考えていないでしょう。自分だけは信じていたと言いたいところですが、最初はゲーム音楽はなくてクラシック活動のみでしたので、自分ですら考えていないのです。人生どうなるか本当に分かりません。

 10年間、指揮者としてどうにかこうにか歩んで来られたのは、ヴァイオリンの小林さん、トランペットの荻原さんの存在によるところが非常に大きく、11年前、もしこの二人と出会っていなければ、どこかで音楽の道を諦めなければいけない状況になっていたのは間違いないと思っています。それが、何を思ったか突然プロオーケストラを作ってたくさんのお客様に喜んでいただけたり、今回のような夢のような出来事を経験することが出来たのは、間接的にではあっても二人あってのことなんですね。これは間違いないです。10周年ですし、たまには感謝を述べておこうと思います。本当に、本当にありがとうございます。

 10年目にしてようやく、指揮そのものにしても、音楽活動全般にしても、これまで種を撒いてきた色々なことの芽がほんの少しだけ見え始めてきた気がします。10年でやっとです。その芽が育つのか、また種撒きからになるのか、それは分かりません。ただ、人よりペースは遅くとも、さらに20年、30年、40年と続けていけば、いつか花が咲き、実をつける時が来るのかなと思い、細々とでも続けていきたいと思っています。答えを見るにはとにかく続けるしかないのです。例え結末がどうなろうとも、それは自分が選んだ道。後悔しないよう、突き進んでまいる所存です。

 最後になりますが、10年目という活動の一つの区切りの時期にこのような機会をいただくことができ、本当に良かったと思っております。文中で既に御礼を申し上げておりますが、水田さん、そしてスクウェア・エニックスの皆様、ありがとうございました。

 この7月で活動11年目を迎えます。これまで関わった全ての方あっての今です。感謝してもしきれません。ご支援、ご声援いただいている方々には改めまして心より篤く御礼申し上げるとともに、これからも懸命に精進してまいりますので、今後とも皆様からのご指導ご鞭撻のほど、お願い申し上げる次第にございます。