自分のコンサートと他のコンサートを比べて告知してしまうことの是非

なんだかすごくもったいないことで引っかかってる方がいるようなので、一般論として書いてみます。

簡単に言いますと、自分のやっている楽器のコンサートに対して「それならオーケストラの方がいいよね。迫力が違うし」みたいな残念な意見を言われて悔しいということですね。

で、悔しいので「オーケストラより迫力出せるし! だから来いよ!」という比較を用いた告知をしてしまっていて、これは大変もったいないなぁと思った次第です。

気持ちは分からないでもありません。というか、分かります。通った道です。でも、そのやり方は誰も幸せにならない類のもので、ヘタをすると意図せぬ方面から横槍が飛んで来たりしかねない危険性を孕んでいるものです。

まず、「オーケストラこそ最上級! それ以外は聴く価値無し!」などと思い込んでしまっている方は相手にすべきではなく、「あ、そうですか、それは人生の8割くらい損してますね。でもいずれ分かってくれると嬉しいです」くらいのスタンスでよいかと思います。一生分からなければそれはそれ。その人にとってはそれでよいのですから、無理に引きずり込むことはないです。

私は、一つのジャンルや形態の音楽にしか興味を持たない人は本当に損をしているなぁと思っております。自分の活動の根底に一貫して持っているのは、「音楽が好き」であって、クラシック以外はどうでもいい、ゲーム音楽だけ聞いてればいい、なんてことは間違ってもありえないわけです。と、この辺りは詰めていくと一晩でも語れますので割愛します。

でまぁ、今はオーケストラこそ最高、それ以外は格下などと誤認してしまっている方でも、今後何かしらのご縁があったり、「音楽」というものに対してもっともっと興味を持っていただける日が来れば、必ず一度は振り向いてもらえるものと思います。その時に、その人の心を掴めるか、ではないかと思うわけです。

ですから、音楽の世界の最下層でも、業界に居させていただいている側の人間として言えるのは、どんな舞台でも決して手を抜いてはいけない、常に全力投球すべし、であって、音楽を、そしてお客様を裏切らない真摯な活動を長く続けるべし、ではなかろうかと思います。

比較の手法って簡単なんですよ。私だって、自分がやっている活動において、「あのオケより楽しいから!」「こっちのイベントに来た方がいいよ!」「こっちにくれば損させないから!」と言いたくなる時がないとは言いません。けつおけ!とかね、本当にもっと来てほしいと思いますもん。でも、それはやりませんよね。なぜやらないかは分かる人には分かっていただけると思っています。

オケより迫力出せるから! というのは、それと同じなんですね。その言い方はオーケストラに携わっている人々に対しても失礼になりますし、自分はオケより劣ると潜在的に認めてしまっていると捉えられかねないです。比較するということはそういうことです。

そもそもオーケストラとオルガンは比較対象になるものではないのだから、自分が本当に好きなのであれば「私たちはオルガンが好きなんです! コンサート本当に楽しいよ! 最高だぜベイベー!」と言っていればいい話で、比較する必要なんて微塵もないですよ。大丈夫だから自信を持ちましょ。

というのが私が思ったことかなぁ。

あ、オルガンじゃなくてエレクトーンだっけ?