「お○○さん」の怪

 日本では憲法により、基本的人権の一種として職業選択の自由が認められております。公共の福祉に反しない限り、何になってもよいという事が保障されております。

 それ故、日本には様々な職業が存在しておりまして、有名な職業から、誰も聞いた事がないような職業まで、本当に多種多様なわけです。「指揮者」などという、その存在意義を知らない人が9割以上という意味不明なものも、歴とした職業の一つです。ちなみに私も知りません。

 数えきれないほどの職業がある中、職業名がそのまま愛称として呼ばれるケースがありますね。

歯医者さん
消防士さん
八百屋さん
弁護士さん
ケーキ屋さん

 他にもたくさん。その中で「お(職業名)さん」と呼ばれるケースが存在いたします。

お医者さん
お花屋さん
お菓子屋さん
お寿司屋さん
小保方さん

 これらは職業自体に「お」がついて丁寧語になっているものですね。ところがですね、おかしなものがある事に私は気づいてしまったのです。もしかしたら気づいてはいけなかったのかもしれません。これを書く事で身の回りに危険が及ぶかもしれない。しかしどうしても納得できない。どう考えても違和感しかない。社会の裏側が垣間見える。社会正義として書かないわけにはいきませんので告発します。その職業、それは、

「お相撲さん」

 これです。なんですかこれは。おかしいでしょう、どう考えても。

 道で相撲を職業にしている人を見かけたらどう言いますか?

「あっ、関取だ!」

 まず言わないですね。

「あっ、力士だ!」

 言うかもしれませんが、某トランペッターの愛称が力士なので、それと間違えてしまう可能性は捨てきれません。となると、

「あっ、お相撲さんだ!」

 やはりこれですよね。

 ですけどね、相撲は職業名ではないだろうと。相撲は競技名であり、実際にやっている行為の名前じゃないんですかね。じゃあなんですか? 私は「お指揮さん」ですか? お指揮さんってなんですか、お指揮さんって。言わないでしょう。絶対に言わない。あっ、お指揮さんだ! とか言われても100%反応しない自信がありますよ。

 お相撲さんがまかり通るなら、プロ野球選手は「お野球さん」で、サッカー選手は「おサッカーさん」ですか? なにいってだ! ふざけろ!!! ここまで的確な証拠を提示しているにも関わらず、まだおかしくないと思っている方に言いたいのですが、お相撲さんを認めたら大変な事になってしまうわけですよ。それでもよろしいんですか?

弁護士…………お弁護さん
裁判官…………お裁判さん
ボクサー………おボクシングさん
プロレスラー…おプロレスさん
ゴルファー……おゴルフさん
将棋棋士………お将棋さん
陶芸家…………お陶芸さん
事務……………お事務さん
営業……………お営業さん
ギタリスト……おギターさん
ニート…………おニートさん
漫画家…………お漫画さん
映画監督………お映画さん
小保方氏………お保方さん

 どうですか! おかしいでしょう! なんなんだこれは! もはや常人には我慢の限界! ここで異常事態宣言! 緊急事態発生! お相撲さんだけが優遇されている! お相撲さんは既得権益を独占している! 政界と癒着して裏で四股を踏んでいるに違いない! これはもはや憶測の段階を超え明確であり、悪質な職業差別であり、国技の名に甘えた怠慢である! 憲法違反だ! チャンコ食ってる場合じゃねぇ! 自由と平等のために断固として戦わねばならない! 今こそ蜂起の時! 正義の鉄槌を下すのだ! 民衆よ髷を結え! 結えないうちに幕内昇進! そうだ! お相撲さんを許すな! 相撲協会は即刻解体! No Smorking! No Smorking!(横綱を許すな)

 っていうか良く考えたらお相撲さんって呼び方は別に変じゃないし、昔からそうなんだし親しまれているんだから変える必要なんてないし、このままでいいと思った。あとお相撲さんは全く悪くないと思った。あと市原っていうお相撲さんがいたけど、いつの間にか名前を聞かなくなって寂しいと思って調べてみたら、八百長問題で引退していた事を知ってショックだった。あと相撲は好きだけど八百長は良くないと思った。あと相撲は面白いと思った。