近所のラーメン屋が謎です

 私の中には解けない謎がいくつか存在するのですが、そのうちの一つが近くの駅前の某ラーメン屋であります。

 単なるチェーン店で、特別美味しいわけではないです。特別美味しいわけではないどころか、基本的に何を食べても美味しいと言い、不味いラーメンは数年前に閉店直前の「彦龍」で食べたのが最後だと思われるラーメン好きの私にして、美味しくないラーメン屋にリストアップされるという、珍しい店に分類されているのですね。

 店の名前は伏せますが、担々麺が好きなので、その店の名に惹かれて一度食べてみようと来店したのが一年ほど前。

 看板メニューの担々麺は辛さが5段階から選べるもので、辛い物が平気な私は一番辛いのにしようと思ったのですが、「激辛:辛いものが好きな人でもつらい」とか脅し文句が書いてあったので、持ち前の警戒心を発揮して「中辛:辛い物が好きな人にオススメ」などと書かれたレベル3を注文。

 出てきたのは真っ赤な担々麺。担々麺というか、シャア専用ですかというぐらいに赤い溶き卵ラーメン。ガンダム見たことないけど。これ担々麺じゃないよね、と言いそうになる気持ちを抑え、辛さに期待して口に運ぶものの、一切辛さを感じない。唐辛子を粗く砕いたらしき物体が大量に入っているのだが、それが嫌な舌触りと歯ごたえを生み出して最悪。スープは全くコクがなく、出汁を取っているのかすら怪しく、これただお湯に材料ブチ込んだだけだろという感じで、素材それぞれの味が分離してぶつかり合っていて最悪。麺はやたらツルツルとしていてスープと絡まないし、食感も味もあったものではない、こんな酷い麺どこで売ってるんだよという非常に不味いもので最悪。スープも麺も不味く、辛さも感じなくて最悪。そのうえ異様に高いから最悪。という四拍子そろった史上最悪のラーメンという認識が生まれたわけです。

 大抵の人はこの時点でもう行かないとなると思うのですが、私の偉いところは一度で判断しないというところでありましょう。第一印象が悪くても、本当はいい人かもしれません。その日たまたま美味しくなかったのかもしれませんし、辛さレベル5を頼めば、その辛さが好きになるかもしれないと。

 というわけで先日再び行ってきたわけです。

 今度は迷う事なくレベル5を注文。出てきたのは前回と見た目が同じ、シャア専用溶き卵ラーメン。辛旨なら許す。そう思いながら食べたものの、一切辛さも旨みもを感じない。テーブルにあるラー油で味を整えましょうとラー油を入れ始め、気づいたら一瓶なくなっていた。それでようやく辛くて味があるラーメンになったが、その代償としてカロリーが大変な事になっていたものと推察される。この時点でこの店は終わった。終わりを告げた。私たちもう終わりにしましょう。二度と行かない。ラーメンは不味いわ店は汚いわ店員は人目につく裏口でしょっちゅう煙草吸ってるわ、いいところが一つもない。褒めるとしたら、お水が冷たいですね、とかそれくらいしかない。こんな酷いラーメン屋は記憶にない。ラーメンを食べて怒りを覚えたのは人生でも多分初めてだ。これなら彦龍の方が「日本一不味い」と宣言していただけまだマシっていうか彦龍は許す。一緒に写真撮ってサインもくれて山本梓の話をしてくれたし。いらない本買わされたけど。山本梓には会いたい。関係ないけど。

 で、ここからが本題なのだが、私が謎だと言っているのは、このラーメン屋に行列が出来ているという事についてだ。どう考えてもおかしい。私の味覚が異常でない限り、どういう事情があって不味くて高いラーメン屋に行列が出来るのか。そのカラクリを知りたい。それを解き明かす事が出来れば、どんな商品もヒットさせる事が可能。これはすごい。打ち出の小槌のごとくモノを売って金を生み出す事ができる。「もしもクソ不味いラーメンを作るクソみたいな店のクソみたいな店主がドラッカーを読んだら」などと題し、そのノウハウを情報商材として8万円くらいで売りつけたい。それを1万人に売れば8億円も手に入る。8億円あれば税金を払っても多くを望まない。一軒家を立ててタンタンメン御殿とか名づけたい。そうして一生プロニートとして生きていきたい。そうなったらクソ不味いラーメン屋に生涯感謝してやる。気が乗れば月に一度は食べに行ってやってもいい。それくらい意味が分からない。

 立地くらいしか理由が見当たらないんですけどね。

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