ベートーヴェンの交響曲第6番第2楽章がよく分かりません

 来る5月4日にけつおけ!で演奏する、交響曲第6番「田園」ですが、気になりすぎる事があったので、忘備録的に書いておこうかと思います。

 問題は2楽章であります。本楽章のテンポ指示をどういうわけかずっと

Andante molto mosso

 だと思っていたのですが、molto mossoって、この曲以外で聞いた事が無かったんですよね。moltoは「たくさん」、mossoは「動き」なので、「躍動感を持ったAndante」の意という風に理解をしていたわけなのですが、いくら調べてもイタリア語にmolto mossoなどという成句は無いっぽいのです。meno mosso、piu mossoならいくらでもあるんですが。しかしスコアに書いてあるんだから仕方がなかろうと思ったら、手元のスコアには

Andante molto moto

 と書いてあるではないですか。なんじゃこりゃと思ってググってみても誰もこの事に触れている人がおりませんので、各出版社を調べてみました。

Breitkopf & Hartel → Andante molto moto
Henry Litolff’s Verlag → Andante molto mosso
Ernst Eulenburg → Andante molto moto
Barenreiter Verlag → Andante molto moto
音楽之友社 → Andante molto moto

 音楽之友社に至っては、アルファベット表記が「Andante molto moto」で、解説には「アンダンテ モルト モッソ」と書いてあるお粗末っぷり。しっかりしてください。

 きちんと調査したわけではないので不確実ですが、どうもmossoは間違いくさいですね。ウィキペディアには堂々とmossoと書かれているようですが。ただ、molto motoという指示もこの曲以外では使われていないっぽいのです。con motoならいくらでもあるんですが。威風堂々第1番の冒頭で「Allegro, con molto fuoco」という指示がありますので、正確には「Andante, con molto moto」なんじゃないかという気がしています。

 じゃあmotoってNANDA!?といいますと、「動き」なんですね。mossoも「動き」。一緒や! どっちも! と日ハム片岡選手のような叫びをあげたくなったのですが、どうしてこんな事になったんでしょうか。どうしてこうなった。

 mossoは動詞muovere(英語でいうところのmove)の過去分詞で、moto(英語でいうところのmotion)は動詞ではなくて名詞になります。motoもmossoも意味が似ているようで、どこかで聞き間違いなどによって混乱してしまったのですかね。

molto moto → very motion
con molto moto → with a lot of motion

 となるようでして、前者はおかしい。いよいよ後者が正しいのではないかという感じがしてまいります。

 辿れば辿るほど、どんどん訳が分からなくなってきまして、イタリア語教室の生徒じゃあないんだ私は、と疲れてきたので終わりにしたいと思います。人生でこれほどイタリア人の知り合いがいたらなぁという気分になった事はありません。

 謎を解くにはファクシミリを見るしかないと思うのですが、生憎ファクシミリは手元にありませんで、ベーレンライター版の校訂報告を見ましても、その部分に関するものはございませんでした。という事は、校訂すらしていないという意味だと考えると、ファクシミリもmotoなのだろうなという結論になります。

 というわけで、すっきりしないのですが、一番しっくりくる「躍動感を持ったAndante」という解釈の下で進めていきましょうかと思った次第です。時間を費やした挙句、最初に戻るというダメなパターンですね。

 というわけで、イタリア人はいますぐ私の友人になってください。

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