同一性保持権は厳格に運用されているのでしょうか

 同一性保持権は著作権法に含まれるもので、製作した著作物が他人によって改変されない権利であります。非常に単純に言いますと、替え歌を作ったら著作権法違反という事になります。

 画像でいえば、元の画像に勝手に何かを付け足して公開してはなりません。音楽でいえば、勝手に編曲をしてはなりません。歌詞を変えてはなりません。という具合になるわけです。しかし、漫画やアニメの画像を改変して楽しむ方はいらっしゃいますし、曲を独自に編曲して公開している方もいらっしゃいます。

 私のスタンスとしては、昨日のエントリーで述べたものと同じく、法律的に黒なのは分かりますけど、何でもかんでも目くじら立てるのはどうなのよ。という感じですかね。

著作権の話は何かと面倒ですね
http://blog.185usk.com/2014/03/post-54560.htm

 以下、音楽の編曲、改変についての話になります。

 同一性保持権は、他人に委託できないという性質を持ちます。つまり、著作者以外が同一性保持について管理したり、とやかく言える権利は認められていないと言う事です。JASRACをはじめとした著作権管理団体は、演奏許諾は出せても編曲許諾を出す事は出来ません。

 従って、著作権管理団体より演奏許諾を得ても、著作者の同意を得ずに編曲をしてはならないという事になります。ただ、どこからを編曲と定義するのかは判例が無いようなので、どなたか訴えられて裁判で争っていただければ、はっきりした線引きが出来るものと思います。興味のある方におかれましては、ぜひ最高裁までもつれ込み、人柱となり後世に名を残して頂く事を熱望する次第であります。一応、元の曲の雰囲気を損ねずに、楽器だけを変えるような行為は編曲には当たらないとされているようではありますが、判例が無いので白だと断言は出来ないですね。

 で、昔から気になっているのは、テレビなどのメディアで披露される替え歌なのですよ。

 楽曲自体はJASRAC等との包括契約で利用可能なのは分かるのですが、お笑い芸人が替え歌で笑いをとっている場面などを見ると、果たして同一性保持に関して許可を得ているのだろうかと疑問に思うのです。

 お笑いに限らず、CMなどにおいても、洋の東西を問わず色々な曲の替え歌が披露されていますが、著作者にコンタクトして、こういう替え歌を放送していいでしょうかと許可を得ているとは到底思えないわけです。

 この辺はグレーというか、業界の暗黙の了解で誰も突っ込まない部分なのかなと勝手に想像していますが、実際のところどうなんでしょう。どなたか詳しい方いらっしゃいませんかね。それとも、言われたらやめます的なアレなんでしょうか。だとすると、ネットユーザーがあれこれ楽しむ程度は大した問題ではなくなるわけで、結局怒られない構わないだろうという話になってしまいます。それならそれでいいと思うのですが、庶民は厳しく規制しておきながら、権力者は勝手にしているという事であれば、やはり色々歪みが出てしまいそうな気がします。

 著作権に限らず、玉虫色にしておくのが一つの美学であり、触らぬ神に祟りなしという領域の話であるのだろうと思いますが、単純に疑問として気になる次第です。

 とりあえずやってみて、怒られたら謝るくらいのユルい感じがいいのかもしれませんね。いや、法律は守るべきでありますが。

同一性保持権は厳格に運用されているのでしょうか” に1件のフィードバックがあります

  1. ピンバック: スギヤマ工房が編曲に言及したようです | 亮曰く

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