元旦


 みなみなさま、明けましておめでとうございます。

 こうして無事に2011年を迎えることができました。

 いらないものは昨年のうちに捨て去り、新年からはまた新しいものを沢山取り込んでいきたい。そう思う所存であります。お付き合いいただける方は、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、昨日はマエストロ・マゼールによるベートーヴェン交響曲全曲演奏会が開かれたわけです。USTREAMで全て生中継という大盤振る舞いをしていたので、つい何時間も見てしまいました。
 視聴者数が最高に膨れ上がったのはやはり第九の有名な箇所で、最終的に6,500人弱の方々がリアルタイム視聴をしていたようです。

 この6,500人という数字について、多いと思うか少ないと思うか。私は物足りないと思いました。無料で高画質、高音質、全世界同時配信にも関わらず、6,500人「しか」集めることができなかった。これは視聴率に換算すると、わずか0.013%(世帯数を5000万と仮定)でしかないわけです(視聴率の考え方が間違ってたらごめんなさい)。さらに、会場が満員で2,300人埋まっていたとして、全世界でたった9000人弱しか見ていない演奏会だったわけです。海外は時差がありますし、日本でのイベントですから、やはり視聴者は日本人が大半だったでしょう。告知が充分とは言えずネット限定であった点や、大晦日であるという点を差し引いても、民放の番組は何十%も視聴率がとれるのですから、これが日本のクラシックの現状だと思いました。クラシックをもっと身近なものにしたいと常に考えている人間からすると悲しい現実ではあります。

 無料で生中継というのはとても素晴らしい企画で、今後も続けてほしいという気持ちがある一方で、もう一つの本音としては無料で聴いてはいけないという気持ちもあります。
 オーケストラは生で空気感に触れなければその真骨頂は伝わりません。いくら情報伝達技術が発達したとはいえ、機械を通して聴くのと生で聴くのでは雲泥の差があります。ですから、ネットでの視聴が会場の料金と同じであったとしたらそれは違うと思うのですが、あれだけのクオリティのものを無料で簡単に提供してしまうというのも、手放しでは賛成できないという思いがあります。
 実際、私はお金を払っていいと思いましたし、例えば一人1,000円で視聴したとすれば、昨日だけで650万円の収益をあげられたわけです。ですが、有料だったら6,500人集まったかと言われれば、絶対に集まらなかったと思います。
 聴きながら目に入ってきたTwitterの書き込みでは「感動した」「最高だ」と絶賛の嵐でしたが、感動してモニターの前で涙を流している人が全員お金を払って見るのかと考えると疑問です。無料だから、という部分は否定できません。
 本当は、あれだけの芸術を無料で享受してしまうのは恐れ多いことなのではないかと思います。

 クラシックの裾野は拡げたい。だけどもタダでなんでもやっていたら業界が衰退する。実に難しい問題だと思います。
 本当にクラシックが好きだったら、ユーザーはお金を使うという形で還元するのがもっとも直接的で手っ取り早いです。
 プロ野球選手は成績を残せば1年に何億円ももらえますが、オーケストラでは例え国内トップクラスの奏者であっても、所属する楽団から1億円なんて間違ってももらえないのです。私は、そういう才能のある人は数億円もらえるだけの価値はあると思っています。これもひとえに業界全体の稼げる額の違い、抱えているユーザーの数の違いからくるものではないでしょうか。
 クラシック離れが進めばクラシックは儲からない業界になる。儲からないのに、大成するには多くのお金が必要である。そうなれば目指す人、目指せる人も限られる。目指す人口が減れば才能が埋もれていく。才能が埋もれればクオリティが下がる。クオリティが下がればさらにクラシック離れが進む。という悪循環をどうにかしないと。

 そんな自分の力ではどうにもできないような壮大なこともちょっぴり考えつつ、2011年は精進していきたいと思います。ずっと考えていることではありますけど。

 それではみなさま、今年もどうぞよろしくお願いいたします。今年もできる範囲でがんばります。

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